ハンバートハンバートの「ふたつの星」の感想

星と人間を重ねて捉える視点は、柴幸男、ままごとの演劇「わが星」を思い出させた。10年以上前、大学時代に演劇をやっていてこの芝居の虜になったのだった。ままごとのこの演劇は、日常的と宇宙のスケールが音楽的なリズムの中で統合されていた。口ロロ(くちろろ)のビートに乗せて進むこの演劇は、無(転じて有)、始まりと終わり、関係とひとりぼっち(孤独)、希望と悲しみ、時間と空間に想いを巡らせるものだった。内臓感覚を思い出す。

ハンバートの新曲は「わが星」ではなく「ふたつの星」だ。ふたつの星が出会い、溶け合い、一つになろうとする。星とは星同士が集まりできているいるのだ。もちろん私たちの地球も様々な隕石のようなものが集まってできている。質量が重力を生み、多くのものを引き寄せて一つになる。

”ねえねえ、君の隣にきてもいいかい、やっと見つけたんだ”

ハンバートのこの歌詞はまさに果てしない宇宙的なスケールの空間と時間の中を漂い、ようやく別の星に出会えた切実さがひしひしっと伝わってくる。

真っ暗な宇宙の中で、時間と空間も区別できないような果てしない孤独が常にある中で、輝く星が見えてきた時の希望、喜びというものはとても大きいのだろうと思う。”出会う”ということの奇跡が極限に感じられるのではないだろうか。

繰り返される”ねえねえ”の呼びかけ。
そこになんだか泣けてしまう。
”ねえ”っていって、返ってくること

ひとりを心底味わうさみしさとか
ふたりっていうことの尊さ
切実に伝わってきて
言葉を無くしてしまう

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ハンバートの歌詞

(聴き取ったもの)

毎晩毎晩
同じ夜空をずっと見上げてた
毎晩毎晩
おんなじ手紙を書いては送ってた

何年経ったかわからなくなって
それでも待っていた
何年経ったかわからなくなった
ある日見つけたのさ

果てなく広がる暗闇に
僕はずっと一人でいたよ
名前も記憶もなくなって
僕はただ僕になっていた
 
ねえねえ
君の隣にきてもいいかい
やっと見つけたんだ
ねえねえ
どうか返事して君がいるのが
わかってるんだよ

あれからもいちど
毎晩夜空をずっと見上げていた
あれからもいちど
毎晩手紙を書いては送ってた
果てなく広がる暗闇に
こうしてポツンと一人でいても
そんなに暗くもなくなった
君がどこかにいると知ってたら

ねえねえ
君の隣にきてもいいかい
やっと見つけたんだ
ねえねえ
どうか返事して
声さえ聞こえれば探せるから
ねえねえ
どうやら僕たち
あまり近づいたら
いけないみたい
ねえねえ
僕は構わない
溶けて無くなっても構わない

だんだん
体が燃えていく
君に近づくたび小さくなってく
ねえねえ
このままくっついて
二人で一つの星になれるかな