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1ガロンのチョコミルク

某スーパーより配達依頼が参りました。ランチ数人前よりは少々単価の高いお仕事なので早い者勝ちです。私はメアリーにグローサリーを届ける役割を勝ち取りました。

グローサリーについてはこちら↓


ピックアップ場所に車を停めて待っていると、店員さん3人がガラガラと台車を引きずってくるのが見えました。台車の上にはプラスチック製のボックスが5つも乗っています。メアリーが彼らに頼んだのは、ピザ等のたくさんの冷凍食品、大きなポテチの袋やクッキー、缶ジュースが12本入った箱、キッチンペーパー等の日用品類、ガーデニング用の砂、そして1ガロンのチョコミルクが2本。

明らかに活きが良さそうな、ティーンエイジャーと思しき男性たちが、3人がかりでトランクに積んでくれた山盛りのグローサリーを乗せて、私は1人で出発します。

メアリーからは、住まいは3階にあるとメモがきておりました。ガーデニングの砂はお米の袋よりもひと回りもふた回りも大きいですし、1ガロンは約4リットルです。それが2本あります。

何往復もする覚悟で、両手に持てるだけ持って3階まで階段を登りました。しかし、メアリーが住む18番の部屋は見つかりません。仕方なくそのまま1階まで戻り、アプリを確認し直します。

住所をよくよく見ると18番の部屋は1階にあるようです。しかしメアリーはやはり3階と主張しています。

メアリーに電話をかける事にしました。
「部屋は何階ですか?」

メアリーは答えます。
「1階よ」

18番の部屋は1階のすぐ奥に見つかりました。扉の前に荷物を次々に運んでいると、突然扉が開き、中から顔を出した男性が紙袋を1つ掴みました。目の前にいた私に驚き、一瞬固まった彼は無言のまま、掴んでいた袋だけ部屋の中に入れ、扉を閉めました。10歳の男の子のような反応をした彼は、50代の中年男性に見えました。

砂袋を右手に担ぎ、左手にチョコミルクが2本入った紙袋を持って部屋の前に戻ると、扉はまた開きました。扉のすぐ横に置いたソファに座ったメアリーが「部屋がわかって良かったわぁ」とニコニコしています。少し奥に先ほどの男性が立っています。彼女の息子でしょうか。

納品完了の報告をアプリにしている私にメアリーはまだ何か話しかけていますが、少し要領を得ないような気がしました。その様子を少し離れた所から息子さんは心配そうに見ています。

2人がチョコミルクを分け合うのを想像しながら、いつも容赦なく頼む重たい洗剤などを我が家に運んでくれるドライバーさん達に、改めて感謝の気持ちを持ちたいと思いました。


所要時間:1時間24分(配達2件分)
配達料:$8.51
チップ:$5.68





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