おかもち子

今日も北米でみなさまのランチをお届けしております。フードデリバリードライバーが出会った…

おかもち子

今日も北米でみなさまのランチをお届けしております。フードデリバリードライバーが出会った人々と日々。

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北米で出前はじめました

みなさま、はじめまして。おかもち子と申します。 北米で某フードデリバリードライバーとして働いております。 ランチを運ぶその道中にはいろいろな出会いがあることに気が付きました。 私がすれ違った沢山の愛すべき二度と出会わないであろう人々との日々を綴っていこうと思います。 尚、登場人物は全て仮名です。 お暇なときにお立ち寄りいただけましたら幸いです。 よろしくお願いいたします。

    • 6つのコモと2輪駆動

      ハード系パンとペストリーで有名な、カフェを併設したパン屋に呼ばれました。ジョナサンへの出前です。 一般的なスーパーで売っているパン類は、塩分が強く、歯ごたえもなく、かと言ってふわふわと口当たりが良いわけでもなく、日本で買えるそれとはかなり違った風味のものが多く、渡米直後はパン迷子になったものです。 パン迷子の私に手を差し伸べてくれたのが、このパン屋でした。コモと名付けられた丸いフランスパンのような見た目の、子供の頭くらいある大きなイタリアンスタイルのこの固いパンを、薄くス

      • 私vsテキサス・チェンソー

        コンビニから真っ直ぐ北上した先にソラの家はあるよとアプリが告げました。きっとすぐ先の住宅地あたりだろうと思い、何本もエナジードリンクを受け取ってから走り出しました。 ちょっと行った先では、真っ直ぐの道と右折の道で分岐していました。私はそこで右折すると思っていました。右折すると住宅地があるからです。しかしナビは直進するように告げます。 直進した先には何もないことは知っていましたが、やはり何もありません。左右には何かの畑が広がり延々と続いています。そのまましばらく走ると山道に

        • ボバとその仲間達

          日本で大流行したタピオカミルクティー屋ですが、私が住む街でも引き続き人気があり、様々なお店が至る所にあります。Boba teaやBubble teaという愛称で親しまれています。 台湾発祥のこの飲み物は、基本的にはやはりアジアの飲み物という立ち位置にいるようです。アジアンスーパーで各国のアジア人が働くのと同様に、ボバティー屋の店員さんもアジア系の方が多いようにお見受けします。 メイメイからダウンタウンのボバを運んで欲しいと依頼があったのは、お昼のピークタイムも終わり、そろ

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        北米で出前はじめました

          夢の中へ

          おしゃれなサラダ屋さんで数人前のサラダをオーダーしたローレンは、ダウンタウンのオフィスまで出前を頼みました。 オフィスに沢山のランチを届けるのは大好きです!私も社会の一員になれる気がしますし、経費で落とされるであろうランチ代には気前よくチップが追加されるからです。 ダウンタウンは道も狭く、歩行者も多く、路駐も有料駐車場もいつもいっぱいなのは以前、ちらっとお話ししたと思いますが、ローレンのオフィスの前にも駐車してる車でいっぱいで、私は少し離れたホテルの前に用意された、トラッ

          初めての集計

          出前を初めてから、なんとなくの目標にしていた1000ドルを達成しましたので、集計してみました。 出前回数:143回 所要時間:69時間12分 ここからガソリン代を引き、時給換算してみると、決して素晴らしい稼ぎとは言えませんが、何年もペーパードライバーだった私が143回も車でうろうろ出前をするようになったのは、私にはとても大きな進歩です。 引き続きのんびり頑張っていきたいと思います。次の目標は何にしよう?

          初めての集計

          7ドルアイスに学ぶ資本主義を生き抜く術

          ファストフードのお店に呼ばれました。この出前での私のお給料は7ドルくらいになるとアプリは告げます。お客様が追加でチップをくれる場合があるので、正確な報酬額は仕事が終わった1時間後に確定します。 お店に入り「エレノアの出前にきました」と伝えると、店員さんは冷蔵庫からアイスをひとつだけ出し、私に手渡しました。 アイスひとつに7ドルも貰えるのは少し違和感があります。エレノアの家はそんなに遠くないし、アイス本体も4ドル程だと思うので、2ドルか3ドルもらえる程度の仕事内容な気がしま

          7ドルアイスに学ぶ資本主義を生き抜く術

          私の名は。

          マーカスにチキンとスプライトを届けに、第5の山と名付けられた地域へ向かいます。この辺りは治安も確か悪くなかったはずなどと考えながら車を走らせていました。 目的地に近づくにつれて、見たことのある街並みが広がってきました。あれ、もしかするともしかするな?という予想はすぐに当たりました。 マーカスの家は、ゆいさんの家のすぐ向かいでした。やっぱりゆいさんちのとこだったかと車を停める場所を探していると、これまた見たことある人が乗った、見たことある車とすれ違いました。 「あ!」

          Mr.カゴシマとの再会

          ポールのランチを届けるために、タイ料理だかベトナム料理だかのレストランにやってきました。 看板を見て、ぁ、ここはあの彼がいるレストランだと思い出しました。 あの彼の話はこちら↓ カウンターの向こう側で何かしてる店員さんに声をかけると、ビクッとして振り返りました。あの彼です。Mr.カゴシマです。 「ご用件は?」 無表情でそっけない態度に私のことは覚えていないようだなと勘繰りつつ、 「ポールのランチを取りに来ました」と答えると、 「また来たな」と無表情のまま言うので

          Mr.カゴシマとの再会

          開けてはいけない袋を開けるとき

          本業も落ち着きましたので、久しぶりに出前に出発します。以前、noteに書いたお気に入りのハワイアンレストランではなく、今日は別のハワイアンに呼ばれました。 お気に入りハワイアンレストランの話はこちら↓ カルーアポークプレートランチを頼んだ、ハイジの元へ向かいます。 ハイジの住まいまでは20分と割と遠くからの注文です。しかもハイウェイは工事中で渋滞しており、とろとろと向かいます。 ハイジの家の近くまで来たとき、アプリにメッセージが届きました。 「ごめんなさい、オフィス

          開けてはいけない袋を開けるとき

          大山鶏の上書き保存

          (本業専念中につき本日は番外編の思い出話です) 大学に入ったばかりの頃、テーマ系居酒屋が流行っていました。監獄だったりキリスト教だったりと、今思えば何が面白いのかさっぱり分からないそれらのテーマ系居酒屋が大好きだった私は、その中のひとつでバイトをすることにしました。 そのお店の名物は大山鶏を使ったお料理でした。私は店員として鳥取のブランド鶏を使ったその料理をアピールするようにしつこく教育されていました。 大山鶏を「だいせんどり」と読むことも、鳥取のブランド鶏だという事も

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          本業に専念中です

          今週は本業の方が忙しく、手前に出れそうにありません。 そのため、早速noteではネタ切れしております。また出会いが溜まりましたら書いていきますね。 今日は出前中に撮影した写真を紹介します。 ハロウィンの飾りだった彼はそのまま看板犬に出世したようでした。身長2メートルくらいあります。電源を入れたら動くんぢゃないかな? 怖い顔した看板犬が登場したお話はこちら↓ 今日はこれだけ。 ではまた。

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          2人のデービット

          ハンバーガー屋に2件分の出前で呼ばれました。 お店に着いて、アプリを確認すると、2件ともデービットと表記されていました。デービットと、また別のデービットのようです。 店員さんが「誰の出前?」と聞くので「Wデービットです、ほらデービット&デービット」と画面を見せました。すると彼女は「今日はデービットがたくさんいるから気をつけないとと思ってたの!」とよくよく確認してからデービットと、また別のデービットのハンバーガーを渡してくれました。他の更なるデービットがいるのか気になるとこ

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          死者達のランチミーティング

          珍しく近所の大きなモールに呼ばれました。ここのモールにあるフードコートのテリヤキ弁当をとりに行きます。 テリヤキ弁当の説明はこちら↓ このモールは約40,000坪の敷地の中に、各店舗が200以上も並び、6000台ほど停められる駐車場が併設された巨大モールです。 6000台の内、どこに停めるかで目的のお店にささっとたどり着けるか、もしくは迷子になるかのどちらかになるので少し緊張します。しかも、いつ来ても満車に近い状態です。(6000台もスペースがあるのに) しかし、ナビは

          死者達のランチミーティング

          鹿児島ラプソディ

          ガソリンを入れていたら少し出遅れた日、最初に呼ばれたのはタイ料理かベトナム料理あたりが混ざっているアジアンレストランでした。 店員さんに出前に来たことを告げると、彼は私の顔を見て開口一番に「日本人?」と聞くのです。 私が「日本出身ですよ」と答えると、 彼は「どの街?」と食い下がります。 私は「東京です」と答えると、 彼は一言「カゴシマ」と告げました。 失礼ながら鹿児島の方には見えませんし、何が鹿児島なのかと思いつつも「鹿児島の方ですか?」と聞いたところ「鹿児島に2、3

          鹿児島ラプソディ

          サンドイッチを捨てた神と拾う神

          昼時にお客様のランチが出来上がるのをサンドイッチ屋さんで待っていると、同業者がどんどん入ってきます。(目印はついていませんが何故か分かるものです) 私の後から来た男性ドライバーがアンナのサンドイッチを取りに来たと言うと、店員さんは「あと5分くらいかかります」と伝えていました。 その男性は店員さんに何か言うと、すぐに店を出て行きました。 それとほぼ同時に、私のスマホから通知音がなりました。 「アンナのサンドイッチも持って行かない?」とアプリはこちらを伺っています。 ど

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