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凝り固まっている考えはなんだろう

『トリアエズナマ』

出典)
異世界居酒屋「のぶ」
著者 蝉川 夏哉
発行所 株式会社 宝島社

 いいスタートとは言い難い1月が終わり、あっという間に2月になりました。
 どこかで気持ちの仕切り直しをしたいのですが、まだまだそのような雰囲気ではない感じがしています。

 ありがたいことにバタバタと仕事が忙しく、なかなか趣味の時間を確保することができませんでしたが、ひょんなことから出会った文庫本を一冊、読み切ることができました。

 冒頭のセリフは、その文庫本『異世界居酒屋のぶ』からです。
 なぜか異世界と繋がってしまった居酒屋のぶを舞台にした、ファンタジー小説です。
 私は中学、高校時代、ファンタジー小説、いまで言うところのライトノベルが好きでした。
 最近はなかなか読む機会がなかったのですが、この小説はファンタジーを舞台にしているものの、一話が短く、また、現代世界とも混じり合っているので、すきま時間などにとてもいいテンポで読むことができました。

 『トリアエズナマ』は、のぶで出されるビール。つまり、「とりあえず生!」のことです。
 普段飲み慣れている生ビールが、カタカナ表記にするだけで、異世界と繋がる、受け入れられるのが面白いと感じました。
 当然、ただカタカナ表記にすればいいということではなく、作者の技術があってのことだと思います。

 トリアエズナマ以外にも、作品内には、私たちが普段居酒屋でよく目にする料理がカタカナ表記で出てきます。
 そのどれもがなんとなく異国の料理として美味しそうに感じるのがとても不思議で面白かったです。

 自分が普段慣れ親しんでいる言葉、『こうだ』と定義をしている言葉、世間的には正しいとされている言葉。
 視点や立場を変えて見てみるというのは、ひょっとしたらこんなことを言っているのかもしれないな。そんなことを感じた小説でした。

 凝り固まっている考えはなんだろう
 世間や、身の回りの環境から、『あなたの役割はこうですよ』と言われて、それを優先してしまう方。
 そんな人に寄り添える人でありたいです。

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