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「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ27 まとめに

 <まとめに>

 銀行側からしか見えない様々な材料をより具体的に提供してみようと試みたが、少しはお金に対する見方を変えるヒントになっただろうか。視点を変えると物事の見え方がガラリと変わったりするので、ぜひお金の使い道や投資、相場について自分なりに考え直してみて頂きたい。

 十分な材料を揃えたらまずは事前準備。これで投資の成否は80%決まる。

 残る20%、アクシデントや不確定要素については、理屈を超えた「第六感」や「違和感」が大事かもしれない。私自身もそれに何度も救われたが、「なんとなくおかしい」「あれ、変だな」と思ったら一旦止めてみよう。意外と正気に戻ったりする。決断力には個人差があるかもしれないが、相場では「勘」や「感」が「観」を上回ることがままある

 それから、そこまで覚悟してリスク投資をやるつもりはない、という方。 それも立派な選択肢。マーケットでも「休むも相場」という格言があるが、この場合は「やらぬも投資」だろうか。ただその場合も最低限の「守り」として、必要な耐久材を前倒しで買うなどの現金保有リスクの軽減策と資金計画をしっかり立てておくことをお勧めする。

 <少子高齢化?-次世代の展望、収支、教育>

 「今の子供達は少子化を叫ばれて将来1人当たり3人もの老人を背負わされた上に年金も貰えない」とか悲観論だけが強調され少し可哀想な気もする。だが、2042年には65才以上の人口が3,880万人でピークを迎える、という最新統計もあり、年金などのコスト負担は抑制されていく可能性もある。予防診療など医療技術の進歩も医療費支出の抑制に貢献していくだろうから、長い目で見て今後国のお金の収支が好転していく要素も無いわけではない。

 また最近の学校教育の動向を見ると、必要に迫られてようやく本当の意味での自主性が尊重される風潮に転じており希望もある。まして今の10~20代はおじさん達が背負ってきたような変なしがらみもなく、世代交代が進めば良い時代がやってくる、と個人的には勝手に信じている。

 特に東京が20年遅れでロンドンを追いかけるとするならば、40代のブレア首相や女性のメイ首相が活躍できたように、70、80代の老人議員が仕切る今の状況からあと10~15年ぐらいで(?)抜け出せるかもしれない。その頃には「損切丸」で書かれているような事は常識となり、マルチ商法紛いの詐欺は激減するだろう。米国や英国では既に実施されているが、お金や株式など投資に関する授業が日本の学校授業で正式に採用されているかもしれない。

 <最後に...「お金が全てではない」>

 30年近く身を投じてきた投資銀行業界には、正直あまりにもお金に執着する人間が多くて辟易していた。この「お金のマニュアル」リスクを取ってどんどん儲けろ、と推奨するためのものではなく、むしろ最低限の「お金の守り」を促すのが主目的「全ての事にお金がかかる」のである。

 ただメディアをはじめ、いつも「詐欺をする連中が極悪人で被害者は可哀想」とする日本的な風潮もあまり良くない。騙されてしまった「可哀想な被害者」に対し一方的に同情するだけでは現状は改善していかないからだ。騙される側の非もきちんと論じていかなければいけないと思う。

 ただ、80歳にもなる私の母のような昭和世代を今更「教育」して変えていくのはかなり難しいので、なるべく話を聞いてあげて、我々自身も含めせいぜい新種の詐欺に騙されないよう、今後も気をつけていくしかないだろう。

 これからを生きる若い世代については、彼らは簡単に国境を越えることが出来るので、わざわざ高い税金を課せられて老人の世話ばかりさせられる国に止まる義理もメリットもない。そんな中、フィンテックなどの技術革新も伴い柔軟な発想で彼らが切り開いていく「新しいお金の時代」は実は楽しみでもある。日本では「令和の大転換」に期待しつつ本稿を終えたいと思う。

ここまで読んで頂き、有難うございました。(「お金のマニュアル」-完 )

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