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"積み上がっているモノ" は何か? -「金利」との比較

 このところの日経平均の急落で「新NISA」を始めたばかりの方はマーケットからの "洗礼" を浴びているが、こういう時だからこそ「自分自身との対話」を深めて頂きたい。危機に直面した時①我慢する②ムキになって刃向かう③一旦「損切り」して出直す④横を向いて見ないようにする、等人それぞれ。最後のだけは感心しないが自分の心がどう動いているかは判るだろう

 日本人はとかくドル円日経平均に目が向きがちだが、このところマーケットの至る所で "異変" が起きている。犯人はパウエル議長「インフレ」見通しを誤って金利を過度に変動させている

 ではマーケットで今 "積上がっているモノ" は何か?

  "異変" のコアには「米中対立」があり、「脱中国」の「お金」を中心に 溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...|損切丸 (note.com) の現象がある。その最大の受益者は日経平均だったわけだが、本来「円高」になるはずが逆に激しい「円安」を招くという異常事態も起きている

 これは筆者の推定だが、円を買って日本株に投資したものの「円安」による目減りを減らすためにドル円を買って為替リスクをヘッジ。この はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅳ - 狙われた日本人 ≓「新NISA」|損切丸 (note.com) がことのほか上手くいったので「キャリートレード」が積上がっている。だから昨日(4/17)日経平均の急落と共にドル円も売られたのは一種のリパトリ(損失穴埋めのための売り)とも考えられる

 「米中対立」の恩恵を受けたのはインドや台湾もそうルピーは売りを規制されているので日本のように通貨安は伴わなかった

 ただこれらの資産も米国債の売り=金利上昇と共に日経平均同様頭を抑えられつつあり、上げ一辺倒とはいかなくなっている20年債入札でも最終投資家による実需の買いが確認され、10~20年の金利が@4.5%を超えた辺りから徐々に「お金」が金利に向かい始めた@5%近い2年債も魅力的だ

 一方 "異変" が悪い方に向かっているのが中国に近い国々。アジアならタイとベトナムで "チャイナプレミアム" の出現と中国の苦況|損切丸 (note.com) に巻き込まれている

 中国からの「お金」を当て込んで接近したのだろうが完全に当てが外れた。特にベトナム・ドンは急落に見舞われており不動産価格も急落タイも同じ様な展開になっている。これらは「脱中国」の犠牲者と言っていい

 そしてもう一つ心配なのが韓国ウォンは円ほど売られていなかったがこの1ヶ月で急落KOSPI指数も年初来マイナスに沈んでいる

 総選挙で与党が大敗した辺りから様子が急変。やはり前政権下での経済政策の失敗「反日・親中」がぶり返すのではないかという懸念が強い。せっかく復活した日本との通貨スワップもまた取りやめになるかもしれない

 異例ではあるがイエレン財務長官が「日韓の通貨安について "深刻な" 懸念を共有」すると発表したのもこういう事情が裏にあるからに他ならない。これでまた韓国が中国寄りに戻ってしまっては何かと不都合が多い。もっともあの国のことだからそれを逆手にとってまた何か仕掛けてくるかもしれないが…。いずれにしてもマーケットはそれを良くは捉えていない

 さてこうなってくると頼みの綱は今年成績のいい「暗号資産」コモディティだが、さすがに主要市場がこれだけ荒れるとレパトリの対象となってしまう。ビットコインもWTI(NY原油先物)も金(Gold)も頭が重くなってウォール街やファンドにとっては 「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 一体誰が困るのか?|損切丸 (note.com)

 「バブル」という言い方は好きではないが "積上がっているモノ" があるのは間違いない。AI時代の現在ではそのスピードもかつて無いほど速い。「金利」が魅力的な水準まで上がれば「お金」はあっという間に移動する

 最後は「金利」が ”とどめ” を刺す ー 「インフレ」と「中国」の綱引き。|損切丸 (note.com) これはJGB(日本国債)でもBunds(ドイツ国債)でもそう。ECBがあれだけ「利下げ」を急ぐのは、景気後退に反して不当に上がっている株価に不安があるからかもしれない

 「なんで日銀が利上げすると円安が止まるのか判らない」

 こういう書込みを目にするがFXでドル円を買ってみて1日▼2銭づつ「値洗い」で持ち値が改善すればその "恩恵" に気付く。これはO/N(1日物)の金利差が+5%もあるから起きる現象で、10年JGB金利がいくら上がっても直接は関係ない。つまり日銀が政策金利を上げない限りその "恩恵" に預かろうとする者は後を絶たない。即ち「円安」は止まらない

 もっとも ”ドル円ロング” も "積上がっているモノ" の代表格で、きっかけ次第で崩れる可能性はある。*アメリカが同意しているのであれば「日韓ドル売り協調介入」なんて事も起こり得る

 *「国際協調」を馬鹿にするのは危険米政府の意向は必ずウォール街にも伝わる≓「円売り」を止める。実際ドル円@80円割れの時は "Orderly Reversal" (秩序ある反転)の文言1つで@100円台まであっという間に戻した「どうせ戻るから大丈夫」と油断しているとハシゴを外されかねない

 財務省の味方をする訳ではないが「購買力平価」↓ で見ても今の「円安」が行き過ぎなのは明らか「キャリートレード」は万能ではない


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