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6世紀カンボジアを探る旅 なぞの環濠集落と扶南最初の王都(?) バープノン

カンボジアの国としての歴史は、有名なアンコール王朝時代を中心にその前とその後、プレアンコールとポストアンコールと言われています。ポストアンコールの後はフランス領時代で、それから内戦を経て、現在に至っています。ざっくりです。先日、プレアンコールの遺跡に行ってみました、というちょっとした旅のお話し。言っておきますが、わたしはカンボジアの歴史にさほど詳しくはないです。

カンボジアで最初の国「扶南」

カンボジアで最初に国ができたのが扶南(ふなん)と言われています。その次が真臘(しんろう)このあたりの時代がプレアンコール。扶南の建国がいつなのかは不明らしいですが、真臘の属国になったのが550年という記録。本当かどうかはわからないのですが、扶南最初の王都と言われている場所がプレイベン州にあります。バープノンと呼ばれる場所。首都プノンペンから車で2時間ほどの道のり。カンボジア在住20年以上のカンボジア大先輩とともに、とりあえず行ってみることにしました。歴史を調べるのは歴史学者の方にお任せして、我々は足で。

なぞの環濠集落

バープノンと呼ばれる地区(日本でいう郡にあたる感じ)はgoogle mapで見ると環濠集落になっています。プレイベン州は雨季に水浸しになってしまう地域ですが、この環濠集落は少し高台になっているようで、その中に山があるんです。

地図を見ると環濠集落がはっきり

これは見るからに、何かあるぞ〜と思ってしまいます。山の麓には、6世紀の寺院の遺構が残っていて、ここがプレアンコールに栄えた場所であることを物語っていました。

6世紀の遺構が残っているプレアヴィヒアチャン寺院
今は子どもたちの遊び場になっていました

バープノンを見下ろす頂きへ

気温36度、目的の山へ。目の前にはまっすぐな階段が続いていました。これ、何段あるのでしょう。最初は段差のなく楽勝、しかし上にいくほど段差が大きくなり、最後はなんか鋭角にそりかえっているようにも見えました。

本当に息が切れた階段

ひーこらひーこら言いながら辿り着いた山頂。なんかいい風が吹いていました。先輩曰く、ここで扶南最初の王都を作った王様が、建国の宣言をした場所なんじゃないか。そう言われると、なんだか特別な場所に見えてきます。

山頂には巨石がたくさん

焼けた石にお尻をあたためながら腰を下ろし、しばし太古の昔に想いを馳せ、妄想し、ぼーっとしていると、目の前に若い王子が2人現れました。もとい、中学生くらいのカンボジア人の男の子が2人現れました。そして、我々の前でにっこりしながら水を1本差し出して、手渡してくれました。何が起こったかよくわからず、ありがとうと受け取ったのですが。「あ、わたしたち水を寄進されましたね」と。汗だくでぜーぜー言っているおばさんたちのことを放っておけなかったんでしょうね。太古の王都があった場所の人たちは優しいなぁ。

麓の民を見守るかのように立つ(おそらく)ラーマ王子とシーター妃
田園地帯の真ん中を感慨が真っ直ぐ通っているのが見える

悠久のロマンを勝手に感じながら、サウナの後のように勝手にととのった我々は、膝を笑わせながら、また長い階段を降りて、お山を後にしました。

遺跡や歴史的名所に行くときは、まず書物やインターネットで調べてから行くと面白いといつも思っているのですが、ことカンボジアに関しては、プレアンコールとポストアンコールについての文献がとても少なく情報がありません。ということで、今回はえいやーととりあえず現場に行ってみて、勝手にロマンを感じて楽しんできたわけですが、そういう歴史の感じ方、遺産の楽しみ方があってもいい、と思った日帰り旅でした。

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