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40歳になりました

5時半のアラームで目が覚める。
隣に眠る夫が、おめでとーと小さく呟く。

見ると薄手の毛布をサリーのように巻いて寝ている。「毛布しかないじゃん」「いつもだよ」と言われるが、意図はさておき事実として受け止める。ふかふかの白い布団の下から這い出て、カーテンに手を伸ばす。

薄暗いから曇りかなと思っていたが、ちょうど陽が登る時間だった。窓の外はきれいに晴れて、雲ひとつない。

「ママ、お誕生日おめでとうー」近くに布団を敷いている息子が、目をこすりながらおはようではなくおめでとうと言う。

今日で40歳になった。
階下に降り、電気ポットで湯を沸かす。きのう買ったちょっと良いコーヒー豆をいそいそと取り出出す。嬉しい。

夫はアイスコーヒー派なので、「コーヒー淹れていい?」と声をかけると、洗面所から「いいよー」と聞こえた。お湯をハンドドリッパーにゆっくり注ぐ時間が好きだ。ふくふくと粉が膨らんで、良い香りが漂う。

おととい母が持ってきてくれたコストコのチョコマフィンを半分ずつに切って、少なめに朝ごはん。今日はおでかけだから、お腹をなだめる程度にする。

「あっつ!ホットか」
淹れるよ、だと伝わっていなかった。コップに入れるよ、だと思ったらしい。

最近、chumsのサーモマグを家族で揃えたので、カップを持っても温度はわからないんだった。あーごめんと謝る。

まだ6時過ぎ。娘がボーっとしながらチョコマフィンを頬張っているのを見て、とんとんと肩を叩いてから自分の顔を指さす。

ん?娘が首をかじげる。夫が、「なに?自分でアピールしちゃうの?」と眉をひそめてにやついているが、構わず自分を指さして娘を見つめる。

娘は口にチョコがついているのかと思って口を拭う。ちがう!ワタシワタシ!何度か首を傾げてから、「あ〜!お誕生日かあ〜!おめでとー」と言ってくれた。完全に言わせた。

40歳の誕生日。
遥か遠い未来だと思っていた日。
良いことも悪いことも希望も不安もいったんは横に置き、今日はどこかにお出かけしよう。


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