2.13

Mにチョコレートをもらった……のはひと月ほど前のことだ。Mによるとチョコレートを送る風潮はロッテの陰謀であり、迎合したくないらしい。チョコレートを渡すことを渋っていたが、バレンタインとは関係ないタイミングなら、ということでくれた。やさしい。それは猫缶に入ったチョコで、とてもおいしかった。しかも猫缶は3つあった。白猫と、黒猫と、三毛猫だ。とてもかわいい。わたしはよろこんだ。
わたしは企業案件だろうがなんだろうが、おまつりごとが好きなのでバラの形をしたチョコレートをふつうに昨日送った。Mは喜んでいた。

ガンズアキンボをみた。ハリーポッターがSNSでレスバをしていたら、キレられて両手に銃を固定される……ウワァァ~~二丁拳銃マンになっちゃったよぉぉぉおお~~という出オチのような設定だが、さいこうにおもしろかった。ハリーポッターもB級映画にでたがっていたようなので、わたしはうれしい。

ザ・セルをみた。映像の新鮮さ、鮮烈なイメージというものはこんなに目を楽しませるものなのだなあと思った。輪切りのソルベが輪切りされるシーンがあって感動した。


似鳥鶏の泌尿器科医の事件簿を読んだ。泌尿器科というテーマに誠実にアプローチしていて、好感度が高い。作者は丁寧に取材をしたようだ。泌尿器の話はあまり触れられないが、身近だ。誰もが一度はあそこのぶつぶつについて考えたことがあるだろう。いちばん良かったのは三話目だ。とんでもないアレをしたのにそのまま仕事に行って、ほったらかしにしたばかりに、あそこがどんどん大変になってしまう人の話だ。わたしは読みながら、何度も自分の股間を見た。股間が寒くなる感覚を味わえるライトお仕事ミステリなんて、なかなかない。唯一無二かもしれない。
泌尿器の問題は、本人にとっては切実だが、他の人、読者には他人事だ。おもしろおかしくも感じてしまうだろう。その雰囲気がよくかけていると思う。しかし主人公は、彼らの問題は明日は我が身にふりかかるかもしれないと言う。泌尿器の問題を茶化すような目線に対して待ったをかけている。そこがよかった。かといって重い話になりすぎることもなく、作中の雰囲気はライトで、ちょうどいい。啓発的だが、説教臭くなりすぎてもいないと思った。あそこに異変を感じたら恥ずかしがらずに病院にいこう。
今年のいちおしです。

ニードレス通りの果ての家を読んだ。
あやしげな語り手たちが複数あらわれる。記憶があやしげな男、その男の家に住むとてもかしこいねこ、過去の妹失踪事件を追い続ける女性。主な視点人物はいま挙げた3匹だが、どれも不穏だ。さいしょは世界の解像度が低い。語りは地に足がついていないようで、何が本当なのか、どこまで信じるべきか、が読者に委ねられる。その裏側を想像しながら読むのが楽しい小説だ。ある程度推測は立つようになっているが、この物語がなんの話だったのか、あれやそれはどういうことだったのか、そのすべてが明らかになったとき、期待以上の体験がえられる。

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