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制約とクリエイティブの未来[2/2]

AIや半導体に代表されるテクノロジーの進化が著しいとされる現代ですが、その利用や活用に際しては、一定以上の資金力を要する場合も多く、一般の事業者において、それにはハードルの高さがあるのが現状です。ただ同時に、最新のテクノロジーの利用機会を世に広く提供できなければ、社会はもとより、テクノロジーの進展についても、それを要因とした不利益が生じるのではないかと私は考えます。

そこで本記事は2部の構成で、制約とクリエイティブの未来について検討しています。1部では、多くの事業者の手元にある制限が、必ずしもクリエイティブな発想を阻害するものではなく、(最新のテクノロジー環境を導入可能な事業者よりも)その発想に恵まれている可能性について検討しました。

この度はその延長線(戦)として、これからの未来に望まれる、最新のテクノロジーの社会への実装について、その手法を考慮します。

現状への警笛

現代社会において、最新のテクノロジーへのアクセスが、資金力の有無に大きく左右されていることは、深刻な問題です。深く、革新的な技術がありながら、資金の不足によりその恩恵を受けられる事業者が限られている状況は、技術的な進歩と社会全体の発展に大きな障壁となっています。この不均衡は、社会の格差をさらに拡大させ、経済的にも社会的にも持続可能な成長の阻害要因となり得ます。最新技術への平等なアクセスの実現は、全ての事業者のみならず、社会にとって必要不可欠であり、この課題に対処するための具体的な解決策を模索することが急務です。

広い社会への適用戦略

最新テクノロジーの恩恵を中小企業や広い社会に広げるためには、複数の戦略が考えられます。
ここではいくつかの提案を挙げてみます:

公共・民間パートナーシップの強化

政府や大企業が中小企業に対する支援プログラムを開発・提供することで、最新テクノロジーへのアクセスを広げます。たとえば、このパートナーシップには、資金援助だけではなく、技術共有や共同研究のプロジェクトが含まれます。
これらの実現について、政府や大企業への働きかけを実現できるのは誰でしょうか。それは例えば、彼らを顧客に持つテクノロジー企業やコンサル事業者です。

教育とトレーニング

テクノロジーの知識とスキルを持った労働力を確保するために、中小企業向けの教育プログラムやトレーニングを強化します。これには、オンラインコースやワークショップ、セミナーが含まれ、最新テクノロジーの活用方法を学べる機会を提供します。

前回の記事で考慮した内容になりますが、多くの事業者にある制約は、(広義において)創意工夫の思考を持つ人材育成の役割を果たしているとも言えます。テクノロジーの未来の創出に際しては、その仕組みやサービスの理解に留まらず、制限のある環境下での体験のある人材が必要です。同時に、適切な人材の確保に際した課題の解消には、テクノロジーの知識の事前提供による効果測定も有効と考えられます。

イノベーションハブやインキュベーターの活用

中小企業やスタートアップが最新テクノロジーを試すことができる共有スペースや、リソースを提供します。テクノロジーにおける専門家や、確かな知見があるコンサルタントが中小企業をサポートし、具体的な技術的課題の解決や、戦略的アドバイスを提供することで、中小企業が自社のニーズに合ったテクノロジーを認知し、効果的に活用するアイデアを共有します。これらの環境は、リスクを低減しながら新しいアイデアを実験し、開発する上でも有益です。
例えば、営業要素抜きに開催される、社会認識の向上を目的とした展示会を開催できないでしょうか。

サブスクリプションモデルやクラウドサービスの活用

物理的なインフラへの投資を減らし、中小企業が最新テクノロジーを柔軟かつ経済的に利用できるようにします。サブスクリプションモデルやクラウドベースのサービスを通じて、最新のソフトウェアやプラットフォームを手軽に利用できるようにする余地はないでしょうか。目的は、認識の向上による最新のテクノロジーを活かせる社会環境の醸成です。具体的には、中小企業に認知されるサブスクリプションモデルやクラウドベースサービス提供事業者との適切な協業も糸口になり得ます。

規制緩和と政策による支援

政府がテクノロジーイノベーションを促進するための規制緩和や政策を導入することで、中小企業も最新のテクノロジーを採用しやすくなります。これには、裾野を広げるために必要となる研究開発のための税制優遇や、助成金も重要な支援策となります。この施策の採用に際しては、税理士や社労士法人への働きかけも伴いますが、その展開を単にビジネスの要素に留めず、取り扱い可能な法人をはじめとするステイクホルダーが、適切な認識を養う機会とすることが重要です。これにより、技術や知見の社会周知にも、政策や施策の効果を期待できます。

おわりに

この度は、2部構成の記事を通じて、最新のテクノロジーの利用が資金力によって大きく左右される現代社会において、その恩恵を広く社会に提供することの重要性と可能性を検討しました。1部では、制約が実はクリエイティブな発想を促進し、革新を生む可能性を秘めていることを考慮し、本記事(2部)では、社会の制約に立ち向かい、技術の恩恵をより広い層に届けるための戦略に焦点を当てました。

最新テクノロジーの社会全体への実装には、多岐にわたるアプローチがあります。これらの戦略は、大企業だけではなく、中小企業やスタートアップ、そして社会全体に対しても、技術の進展を促進し、経済的な成長と社会的な進歩の両方を支える体制を構築します。社会にある制約は、創造性を働かせて必要と向き合う力を育てています。そこに、最新のテクノロジーへのアクセスを民主化することで、より公平で包括的な社会の発展を促すことが可能です。

これらの実現は、現状の課題に対して、ひとりでも多くの人が解決策を模索し、描いたビジョンをもとにアクションを起こすことから始まります。私たちの目標や使命は「技術的な進歩がもたらす恩恵を、すべての人が享受できる社会を創造する」ことにあると考えます。このビジョンを実現するためには、事業者、政府や教育機関、そして個人が協力し、知恵やリソースを共有する仕組みの作成が必要です。

制約を乗り越える力が、よりクリエイティブな社会にも貢献できますように。

最新テクノロジーの理解をもとに、
手元にある事業を俯瞰できる視野を社会に提供すること。

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