実はほとんどの人が「プロジェクトマネージャー」である Ⅶ/Ⅻ
第七部:コミュニケーションスキルの向上
これまでの記事では、私たちが日常生活において採用する判断や選択の基準をもとに、プロジェクトマネジメントのスキルであるリスクマネジメントや、効果的な意思決定の視点と比較検討してきました。
それらのスキルが個人の生活を豊かにすることを考慮しつつ、この度は、人生にも重要な要素の一つとされるコミュニケーションスキルの向上について考えます。
家庭内外での効果的なコミュニケーションは、誤解を避け、より良い人間関係を築くために不可欠です。日常生活における対人関係の質をどのように向上させるかを題材に、コミュニケーションを円滑にするための技術として、非言語コミュニケーションや、聴き方に関するスキル、効果的なフィードバックの提供方法について考えてみましょう。
非言語コミュニケーションの重要性
非言語コミュニケーションは、言葉以外の方法、言葉を使わない仕草や表情、声のトーンなどを通じて感情や情報を伝える手法です。例えば、私たちは、子どもやパートナーが宿題や勉強をしている時に、優しく背中に手をあてるだけで、励ましやサポートを非言語的に伝えることができます。
また、会議などの場で、同意の表れとして頷くことは、話し手に対する敬意や理解の姿勢を伝えるのに効果的な方法です。ウェブ会議が一般的なものとなった現代においては、通常時の3割増し程度のリアクションが、対面時と同程度の伝わり方になるとも言われます。
非言語コミュニケーションは、感情や態度を伝える上で、非常に強い効果を持っています。
体の言語
姿勢やジェスチャーにより、私たちは相手に安心感を与えることができます。例えば、会話中に相手の目を見て話すことは、注意を払っていることを表し、信頼感を築く上でも役立ちます。また、身振りや手ぶりを加えたコミュニケーションは、伝えようとする意欲や熱意を伝達します。
表情
自然な笑顔や微笑みは、親しみやすさや誠実さを表し、相手にポジティブな影響を与えます。一方で、しかめっ面や無表情は、否定的で無関心な感情を伝え、それがコミュニケーションの障壁となる場合があります。表情を豊かに保ち、口角を上げる意識や習慣は、それだけで周囲に好意的な印象を与える可能性を持ちます。
声の調子
話し方のトーンや速さ、声量は、メッセージの受け取り手への伝わり方に大きく影響します。穏やかでゆっくりとした話し方は、聴き手にも落ち着きを与え、理解を深めるのに効果的です。例えば、結婚式などでスピーチの役割を担う場合、入念な言葉選びに加え、他者のいる本番環境をイメージしながら実際に声に出した練習を重ねることや、録画や録音を視聴してみることで、品質を向上させる機会を得られます。
聴き方のスキル
良いコミュニケーターになるには、効果的な聴き手となる視点が不可欠です。他者の話を注意深く聞くことで理解を深め、関係性を強化することができます。
日常生活における効果的な聴き方の例:
・アクティブリスニング
家族やパートナーが、今日一日の出来事を話している時に、スマートフォンを置いて顔をみて話を聞くことで、耳を傾けていることや、大切な存在であるとの思いを伝えられます。
・感情の共有
相手の感情を理解し、共感を示すことで、信頼関係を築くことができます。友人や同僚が悩みを打ち明けるような時には「大変だったね」と共感の思いを伝えることから、相互にも深いつながりや、安心感を感じられる機会を持てるかも知れません。
・質問する
相手の話に基づいて適切な質問をすることで、興味を示し、話題を深掘りすることができるかも知れません。より詳細な情報をもとに、現実に則した前向きな視点を考慮する時間を持ちます。
効果的なフィードバックの提供
フィードバックも、個々の成長に影響与える重要なコミュニケーションです。
ポジティブな影響を与えることを前提としたフィードバックの提供には、以下のような要点が挙げられます:
具体的であること
フィードバックは具体的で、実態や行動に基づいていたものである必要があります。漠然としたコメントよりも、具体的な例を挙げることで理解が深まります。
子どもが部屋をきれいに片付けた場合、「部屋がとてもきれいになって、気持ちが良いね」と、行動とその効果を具体的に伝えることで、ポジティブな行動と意義の考慮を促します。
バランスの取れたフィードバック
改善を促す必要がある場合にも、取り組みへの感謝を前提とする等、良い点と改善点の両方に焦点を当てることで、前向きに受け取れるフィードバックを実現します。
例えば、友人や同僚から何かのお土産や差し入れを受け取る場合には、その内容の感想に加えて、気にかけてくれた心遣いへの感謝を前提とすることで、全体的な評価や価値をバランスよく伝えられるかもしれません。
適切なタイミング
フィードバックは、適切なタイミングで提供することが重要です。タイミングを逃した遅すぎるフィードバックとなる場合、その効果は薄れることがあります。
おわりに
この度は、コミュニケーションスキルを具体的な例をもとに掘り下げ、日常生活における対人関係の質を向上させる方法を検討しました。効果的なコミュニケーションは、意図の考慮や伝わり方を意識することで、その品質を向上させることができます。この部分の丁寧な積み重ねは、家庭、職場、友人関係など、日常の人間関係をスムーズにし、全体的な生活の質の向上を促します。❀
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