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実はほとんどの人が「プロジェクトマネージャー」である Ⅰ/Ⅻ

本連載は、私たちが日常生活において採用するあらゆる判断や施策を題材に、ビジネスの現場におけるプロジェクトマネジメントの技術を解明していきます。家事の進め方を計画すること、友人や家族と過ごす休日に向けて準備をすること、さらにはプライベートに発生し得る問題に対処することなど、それら個々の対応において私たちが無自覚にも検討・採用する視点は、プロジェクトマネージャーに求められるスキルとも多くの点で共通しています。

第一部では、プロジェクトマネジメントの基本概念と日常生活での応用に焦点を当て、日常の些細な活動がどのように小さなプロジェクトとして管理できるかを探ります。

第一部:プロジェクトの定義と日常生活での応用

「プロジェクトマネジメント」、「プロジェクトマネージャー」などと聞くと、多くの方はビジネスプロジェクトを率いる専門家のようなイメージを持たれるかもしれません。しかし、実はもっと身近な場所、つまり日常生活において、私たちは皆、無自覚にもプロジェクトマネージャーとしての役割を果たしています。通勤や買い物、散歩など、目的を持って行動するすべての活動が、実は小さなプロジェクトです。

プロジェクトマネジメントの概念は、特別なスキルや専門知識を必要とするような、遠い存在ではなく、私たちの誰もが日常生活に採用する活動の中に、自然と存在しています。

プロジェクトの基本概念

プロジェクトとは、特定の目標を達成するために、時間やリソース、計画を要する一連のタスクを指しています。ビジネス環境でのプロジェクトマネージャーはこれを職業としている訳ですが、私たちの日常生活も同じようなプロセスで満ちています。

日常のタスクをプロジェクトとして見る

例えば、通勤時に音楽を聞くまたは、何かの動画を視聴するとした場合、これには、情報を得る、リラックスをするといった、何かしらの目的があると考えられます。通勤という時間を利用して、その目的を達成するためには、リソース(スマートフォン、ヘッドフォン)と、時間の管理が求められます。

仕事帰りや週末に、食料品の買い物をする際も同様です。どの店で、何を、どのようにして購入するかの計画を立て、予算を管理し、必要な場合は家族や友人と調整を行います。これもプロジェクトの計画と非常に似ており、計画性や組織性、効率性が要求されるタスクです。

家族や友人との共同作業を伴う場合には、ステイクホルダー管理やコミュニケーションのスキルも駆使します。例えば、小さな子どもをメンバーに抱える家族の場合、人や車の往来のある場面では、安全と効率性を考慮することでしょう。それらは全てプロジェクトマネジメントの視点でもあり、何らかの制約を伴う行動には、目標を効果的に達成するための戦略的な思考が求められます。

自己管理からプロジェクトマネジメントへのステップ

日々に採用する管理手法を、プロジェクトマネジメントのスキルに置き換えて考慮することで、私たちはその理解を深めることができます。また、その学びは、自己管理のスキルの拡張にも繋がります。例えば、明朝の時間を効率化するために前夜に服を選んでおいたり、大切な待ち合わせのために準備をするといった活動は、プロジェクトマネジメントにおける計画、実行、監視の概念とも密接に関連しています。

日常生活における戦略的なアプローチの視点は、ビジネスの現場でプロジェクトを成功させるために必要とされるマネージャーの役割と似ています。計画を立てること、リソースを適切に配分すること、計画通りに進めるための監視と調整を行うこと。これらは全て、効果的なプロジェクトマネージャーが行う活動です。

プロジェクトマネジメントスキルの日常生活への適用

このようなスキルは、日常や人生におけるより大規模なプロジェクトにも応用が可能です。例えば、家のリノベーションや長期的なキャリアの計画など、大きな目標に向けたプロジェクトでも、これらの日常で鍛えられたスキルが役立ちます。

計画の精度を高めるためには、目標を明確に定義し、必要なリソースを評価し、実行段階における各ステップを細かく構築することが重要です。また、予期せぬ変更や障害(天候不順や予算超過など)に対処するために、柔軟性を持って計画を見直す能力も必要とされます。これには、進捗状況の定期的なレビューと、必要に応じて計画を調整するプロセスが含まれます。

コミュニケーションとステイクホルダー管理

日常生活という単位のプロジェクトでは、しばしば家族や友人がステイクホルダー(利害関係者)となるため、彼らとのコミュニケーションが非常に重要です。効果的なコミュニケーションによって、プロジェクトの目標に対する理解と支持を得ることができます。

例えば、計画したイベントや食事が家族に好評だったと感じられる場合、そのメニューを再利用することがあるかも知れません。これに際しても、適切なコミュニケーション機会を捉えることで、何がうまく行ったのか、どの部分に改善の余地があるのかを正しく評価し、次回の計画に反映させるプロセスとします。プロジェクトマネジメントの視点に置き換えるなら、それはフィードバックの活用と、成果の最大化の視点です。

チームメンバーやクライアントとの間で明確なコミュニケーションを行うことが、プロジェクトの成功の鍵を握ります。

まとめ

プロジェクトマネジメントは遠い専門技術などではなく、日々の生活の中で自然に実践できる普遍的なスキルといえます。言い換えれば、日々の活動をプロジェクトマネジメントの視点から見てみることで、私たちはより効果的な計画と実行の技術を習得し、それを生活のあらゆる側面に応用することができます。

日常の小さな成功が積み重なることで、より大きな目標達成への自信と能力が養われ、プライベートな日常を超えて、より大きなプロジェクト(キャリアプランの策定や、家庭を持つといった人生の変化)への挑戦が促される可能性も考えられます。❀

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