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実はほとんどの人が「プロジェクトマネージャー」である Ⅸ/Ⅻ

第九部:交渉スキルと問題の解決

これまでのシリーズでは、日常生活に採用できるプロジェクトマネジメントの視点や価値観を掘り下げてきました。

この度の第九部では、家庭や職場で発生し得る対立や交渉の場面で役に立つ「交渉スキルと問題の解決」に焦点を当てます。交渉の基本や、対立を建設的に解決する方法を、具体的な日常の例を交えて考慮してみましょう。

交渉の基本

交渉術は、私たちが日常的に直面する多くの状況で役立つスキルです。ここでは、効果的な交渉のための基本的な原則を紹介します:

準備の重要性

効果的な交渉のための準備には、相手の立場や要求を理解することが含まれます。また、着地の目標、交渉の範囲、どこで妥協するかをあらかじめ決めておくことが重要です。例えば、子どもとの就寝時間の交渉において、親は子どもが求める「もう少し遅くまで起きていたい」という要求を理解した上で、健康を考慮した妥協案を提示することができます。

Win-Winの探求

双方に何らかのメリットのある解決策を見つけることが、交渉における理想的な結果です。お互いのニーズを理解し、共通する目標に焦点を合わせることで、双方が納得する結果を導き出すことができる可能性があります。例えば、友人やパートナーとの外食機会に際して、お互いの料理の好みを考慮して、お店を選ぶイメージです。

対立を建設的に解決する方法

他者との意見の違いや対立は避けられないものですが、これを建設的に解決する技術を身につけることで、それを切欠に、関係性をさらに深めることができるかもしれません。

アクティブリスニング

対立する場面の解決に重要となるのは、相手の話をしっかり聞き、理解しようとすることです。他者の話を注意深く聞くことから、相手の立場を理解し、適切な解決策を見つける糸口を見い出します。例えば、家族や親族間の意見の不一致に際しても、先ずは関係者全員が自分の意見を十分に表現できる環境を作り、他のメンバーもそれに耳を傾けることが重要です。納得感のある着地を目指すために、協力を促しましょう。

感情のコントロール

感情の作用がエスカレートすると、状況は複雑になる可能性があります。対立関係の解消には、感情をコントロールし、事実に基づいて冷静に対処することが非常に重要です。意見の衝突に際しては、即座に反応するのではなく、少しの時間(間合い)を置くことも、建設的な対話への期待に有効な場合があります。

日常生活における交渉による問題解決の具体例

家族間のルールの設定

家庭内でのルールについて家族間で意見が分かれる場合には、各家族の意見を聞き、ルールの必要性や利点を話し合います。家族のお金の管理、例えばお小遣いに関する交渉に際しては、各家族の関心やニーズ、優先順位を理解し、全員に納得感のある支出計画の作成を目指します。

また、休日に家族単位の計画を立てる場合、家族間で異なる希望が出ることもあり得ます。このような場合にも、家族の意見をバランス良く取り入れることから、全員が楽しめることを目指した計画を目指します。

プロジェクトや役割の割り当て

プロジェクトの優先順位や役割について意見が分かれる場合、関係するメンバーと意見交換の時間を設定し、プロジェクトの目的や期限、リソースの再評価を促します。各人の専門性だけではなく、関心や心理的な作用を考慮しながら、最も効率的なタスクの分担を提案する視点が役立ちます。この場合も、全員が納得できる計画や運用を目指すことが重要です。

おわりに

この度は、日常生活における様々な交渉や問題の解決を要する場面をもとに、プロジェクトマネジメントの現場で採用される効果的な交渉術や、対立を建設的に解決する方法を考慮しました。交渉を必要とする機会や問題と向き合う時間は、状況により緊張感も伴いますが、その対応と向き合う姿勢や適切な進め方により、より調和のとれた人間関係を築いたり、日常生活の快適さの向上に繋げられる可能性を秘めています。

建設的な思考の心がけをもとに、ひとりよがりを避けて、利他的な精神で他者と向き合うことが、計画に最善を呼び込む秘訣です。❀

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