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3年ぶりに元夫と再会した

「東京に転職が決まった。愛犬をしばらく預かって欲しい」

元夫から、ある日突然連絡がきた。
夫公認なので、元夫とはちょこちょこ連絡は取っていた。

ややこしいので、「20代で2回結婚した話」同様、元夫をA、夫をBとする。

Aは九州に住んでいて、東京まで行く途中に、私たちの住む関西に寄って犬を預けに来ることになった。

犬とは、私とAが結婚当初に一緒に飼い始めたシーズーで、もう今年で7歳になる。
Aと結婚した時から、そんなに時間が経ったのが驚きだ。

話し合って、犬はAの生活基盤が整ったらAの元に戻ること、犬にかかる費用はAが負担することになった。

もちろん今の夫であるBには相談済みで、移動が大変なので途中で私たちの自宅にAが一泊することになった。

元夫と現夫が会うことすらレアケースなのに、新しい家庭に元夫が泊まるのは珍しいことだと思う。
Bは「まあええんちゃう」と言ってた。

大前提として、Aと私の間にもう恋愛感情はない。高校生から13年間ずっと一緒にいたので、家族のような感覚に近い。それを嫌だと思う人の方が、きっと世の中的には多いだろう。でも、当事者である私とAとB、みんなが合意してるので、「別にいいこと」だ。

約束の日、Aが大荷物を持って犬を連れて我が家に来た。

もっと色んな感情があるかと思ったけど、学生時代の友人と再会したような「久しぶり」という気持ちだけだった。

Aは元々やっていた仕事があまり好きではなく、たくさん勉強をして未経験の異業種に転職した。そういえばAは、大学受験の時も缶詰で一日10時間以上勉強してたなぁと思った。

久しぶりに再会した私たちは色んな話をした。
仕事のこと、友達や家族のこと、妊娠や出産のこと。元々気が合うので、話していて楽しかった。

私と一緒に住んでた頃よりもAは穏やかそうで、やりたいことに向かって努力していて楽しそうだった。

Aは私の母親の好物をお土産に買ってきてくれてて、それを母にLINEするとビデオ通話がかかってきた。母は久しぶりにAを見て、「元気そうで嬉しい。高校生の時からずっと息子みたいに思って可愛がってたから。」と言って、泣いていた。

AとBもお互い誰とでもすぐ馴染む性格なので、寝る前には私を置き去りにして2人でポケモンのマニアックな話をしていた。

一緒におやつを食べて、夜ごはんを食べて、朝ごはんを食べて。
Aはこれ好きだったなとか、目玉焼きには塩胡椒で、コーヒーはブラックだったなとか、今でもちゃんと覚えていた。でも忘れてることもたくさんあった。
私とAはそれぞれ別の道を進んでいて、それが少し寂しいような、でもまたこうして一緒に笑い合えることができて嬉しかった。
恋愛感情はないけど、私にとってAはかけがえのない存在で、大切な友人のひとりだ。

翌日、犬を連れてAを駅まで送って行った。
Bと息子は家でお留守番をしていた。

Aは「相手がBくんでよかった」と言っていた。本当に、夫には感謝の気持ちでいっぱいだ。

Aを見送る時、3年前に別れたような悲しさはなかった。また元気な姿で、友人として再会できる確信があった。

帰宅して、Bが私に言った。
「本当はちょっと不安もあった。キスとかしてたらどうしようって」
ありえない心配だけど、初めてBから嫉妬してもらえて少し嬉しかった。

今の私にとっては、Bと息子以上に大切な存在はいない。
人生の選択をして今にたどり着いて、後悔はないし、今幸せだ。

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