Jessel

日・英・中文芸翻訳者です。文学作品の翻訳、AIアート、インサイトなどを投稿していきます…

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日・英・中文芸翻訳者です。文学作品の翻訳、AIアート、インサイトなどを投稿していきます。ヘンリー・ジェイムズ/ウィリアム・ブレイク/ジョン・ミルトン/ヘルマン・ヘッセ/夏目漱石/国木田独歩/宮沢賢治/etc

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ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』

一度読んでしまったら最後、読めば読むほど「ねじがぎりっと回転するように」物語が脳に食い込んでいく。『ねじの回転』というタイトルはこの作品の禍々しい魅力を表すと同時に、読者がこの物語の謎から抜け出せなくなるという構造的仕掛けをも表現しています。 私もこの作品の魅力にはまり込み、磁場に引き込まれて抜け出せなくなってしまいました。 こんな私の様子を見て作者のヘンリー・ジェイムズはさぞ喜んでいるに違いありません。 さて、これほどまでに私を魅了するこの作品の面白さは一体どこにある

    • 現代語訳 国木田独歩『石清虚』

      雲飛という人は盆石をとても愛でた変わり者で、人々から石狂いと言われていたが、人が何と言おうと全く気にせず、珍しい石の探索にだけ日々を送っていた。 ある日近所の川に釣りに出かけ、あちこちの淵や瀬に網を投げて回っているうち、ふと網に引っかかったものがある。引き上げてみたが簡単に上がらないので川に入って手探りしてみると一抱えもあろうかという石だった。例の奇癖はこういう場合にもすぐ現れ、もしかしたら珍石ではないかと、抱えかかえて陸に上げてみると、まさに! 四面すべすべで、谷があり

    ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』