現代語訳 国木田独歩『石清虚』
雲飛という人は盆石をとても愛でた変わり者で、人々から石狂いと言われていたが、人が何と言おうと全く気にせず、珍しい石の探索にだけ日々を送っていた。
ある日近所の川に釣りに出かけ、あちこちの淵や瀬に網を投げて回っているうち、ふと網に引っかかったものがある。引き上げてみたが簡単に上がらないので川に入って手探りしてみると一抱えもあろうかという石だった。例の奇癖はこういう場合にもすぐ現れ、もしかしたら珍石ではないかと、抱えかかえて陸に上げてみると、まさに! 四面すべすべで、谷があり