見出し画像

UTOPIA #24 美しく燃えて……


 穏やかな日々は情け容赦ない熱によって、全てが形を変えてゆく。狭間の森のあらゆる生命は灰となる。誰も逃れる事はできない。この絢爛たる空間からの途中下車は炎の壁が許さない。清らかで薄暗い森は、焼き尽くされながら、死の輝きを天と地の狭間で迸らせていた。あの青々とした花畑に橙色が差し込まれ、その燃焼の果てに黒い点がじわじわと置かれていく。

 最も価値の高まる時とは、一体いつを指すのか?それは正しく、喪失の瞬間。不可逆変化が確定したこの一瞬である。

 少女らは灰になった。美しく燃えて、灰になって、何もかも終わり……勿論そう上手くはいかなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?