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結婚式の延期と、初めての結婚記念日によせて

今日で、結婚してから1年が経った。人生で初めての結婚記念日。

入籍した日の朝、なんだか早く目が覚めてしまったので、noteを書いたのがはるか昔のことみたいだ。

今年は去年よりずっと早く、朝4時に目が覚めてしまった。
もう、おじいちゃんである。あと1時間早く起きたら、いよいよお坊さんだ。それより1時間早く起きたら、漁師さんか。

謎の早起き番付はいいとして、去年と同じように、スヤスヤ眠る妻を横目に、今思っていることをなんとなく残しておこうと思う。

タイピング音で起きないように、気持ち、しっとりと綴る。

結婚式を延期した

結婚してから2ヶ月弱経ったあと、結婚式を挙げる話になった。

もともと式は挙げたいと思ってたけど、お盆に栃木と岐阜にある両家を弾丸でまわるツアーを実施した際に、そんな感じの話題が出て、いよいよ真剣に日取りや会場を決めねばという流れに。

栃木の妻の祖父母の家を訪れた際に、BBQをやることになって、一生懸命やるもなかなか火をつけられなかった僕を、家族のみなさんが汗だくでうちわで扇いで応援してくれて、情けなかったけどすごく嬉しかった。
なお、最終的に肉はフライパンで焼いた。

プードルの蘭丸くんも最初は警戒していたが、首周りをモミモミしたらすぐなついてくれた。

結婚式の話に戻る。

諸既婚者先輩方に、結婚式のことを教えておくれ! という名目で酒を飲み続け、結婚式場相談カウンターをすすめられ、2回目の見学で自分たちらしい式場に出会えた。

ロケーション重視の会場にしたので、毎月1回片道2時間ほどかけて会場に通い、日取りを決め、あーでもないこーでもないと言いながら式のコンテンツを詰めていく。

考えることは多かったが、招待させていただいた懐かしい友達、いつものみなさんに、それぞれからのお祝いの言葉をいただけたのが嬉しかった。

いよいよ式まで残り1ヶ月。動画に引き出物に、やること多すぎてやべぇ! と慌てていたら、結婚式の延期を余儀なくされる事態となった。
例のウイルスのせいだ。

最初は、「あ、準備が浮いたのね。ラッキー」くらいの気持ちも少なからずあったが、いざ、家族や友達の顔を思い浮かべると、じわじわとやりきれなさが湧いてきて、見事にいろいろと手につかなくなった。左脳では「仕方ない」とわかっているのに。妻はきっと僕以上にそうだったんじゃないだろうか。

時間が流れて、そもそも結婚式みたいな幸せなイベントの開催に関して悩めること自体がどれだけ幸せなのか、世の中の動きを見ていて少しずつ実感するようになった。ここで悲しみを撒き散らすのは違うと思って、そういう気持ちはiPhoneのメモ帳にこっそりぶつけてから消した。

そして、いつの間にか、まだ少ししょんぼりしていた僕を横目に、妻はバリバリと働くようになった。毎日かなりの数の打ち合わせに参加していたと思う。

妻はとあるお店で働いているのだけど、リアルな店舗を開けない今だからこそ、オンラインで人と人とがつながり、新しい可能性が生まれるような仕組みをつくろうと、仲間たちとすごいスピードで「オンライン飲食店」を立ち上げた。

楽しみにしていた結婚式を延期して、ショックだったはずなのに、もう「社会」を主語に足を動かしているのか……と、驚きと尊敬を覚えずにはいられなかった。

リモートワークによって、長く一緒にいる時間が増えたからこそ、妻の相手のために前に進む力、コトを推進する能力の高さを日々感じている。

思いやりをもって、相手にとって必要な言葉をかける。たとえ言いにくくても、気持ちオブラートに包んできちんとメッセージを伝える。

4年前、たぶん、僕はこういうまっすぐなところを好きになったのだろうなぁと思った。

「結婚式を挙げる予定だった日」に

リモートワークにも慣れ、なんやかんやバタバタした日々を過ごしていると、いつの間にか結婚式を挙げる予定だった4月29日を迎えていることに気づいた。

「結婚式を挙げる予定だった日」という言葉のずっしり感よ。せっかくだし、何かしようかな?と話していたら、家のピンポンが鳴り、家族からおもむろに風船とお酒、お肉とケーキが届く。

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なんだこれ! と驚いていると、母からLINEで家族からのお祝いメッセージ動画が送られてきた。

・祖母からのメッセージ(めっちゃ噛んでる)
・叔母がギターで中島みゆきの弾き語りしようとするも従兄弟の赤ちゃんが半裸で暴れまくるためほぼ音が聴こえない動画
・僕らの代わりになぜか父と母がナチュラルにケーキカットする動画

など。
いわば「カオスのハッピーセット」である。

距離は離れていても、自分たちをこんなに想ってくれている人がいることに胸が熱くなった。このヘンテコで、やさしい家族に生まれたことを心から誇りに思う。自分もそんな家庭を築きたい。

この動画に触発されて、僕らも何かやらねば! と思い立ち、ダラダラ進めていたFF7をやめて、「結婚式を挙げる予定だった日記念」として、妻と記念写真を撮ることにした。

せっかくだし、「それっぽい服装」をクローゼットからお互い選ぶことに。例によって、僕の服はユニクロで5年前くらいに買ったシャツだし、ネクタイは妻が何かのワークショップで作ったやつだ。

こちらは自宅で撮った写真。

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そしてこちらは、近所の遊具がウイルス対策のために、子どもたちが触れないようにテープでぐるぐる巻きにされている公園(通称:禁密公園)で撮影した一枚。

ぐるぐる巻きテープが、祝福のガーランドに見えなくもない。妻が頭に乗せてるのは、部屋のインテリアである。

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本来であればタキシードで海沿いのロケーションにいたはず。こんなモジャモジャな髪型でもなかった。

それでも、あの日、妻とこの写真を撮れて本当によかったと思う。

僕は、2020年4月29日、「結婚式を挙げる予定だった日」のことを一生忘れないだろう。

結婚1周年によせて

いろんな人に「結婚して何か変わった?」とよく聞かれる。

大きな変化はあまり思い浮かばないけど、確実に主語が「僕」ではなく「僕ら」に変化した。言葉にはしなくても、共通認識として、それが当たり前になっている。

周囲の見え方もずいぶん変わったと思う。夫婦になってから、それまで以上にたくさんの僕の友達、妻の友達が、ふたりにとっての友達になった。

それと、日常の中にお互いの家族が当たり前のように登場するようになった。突然、義妹がFF7の攻略法を電話で聞いてきたり、義実家の食卓の様子がテレビ電話で配信されたりと、楽しくやっている。
妻も僕の母親のカーチャンJ( 'ー`)し感のあるLINEに丁寧に答えてくれている。

ふと、リモートワーク期間は、今までで一番妻と一緒に過ごした時間だと気づいた。さみしがり屋な自分が、孤独感を覚えず、なんとなく前を向いて生活できているのは、本当に妻のおかげだと思う。

なんだか感謝ばかりしているが、この人がいてくれたからこそ、自分の中の「新しい当たり前」がたくさん生まれていったのだとつくづく感じている。なかなか言葉には出せないけども。今、寝言で何か言ったけども。

1年前の今日、区役所に婚姻届を出した後に食べた「おにやんま」の味はもう忘れてしまったけど、まるで夏みたいな、カラッとした天気だったのは覚えている。

以前、結婚式のコンセプトを考えるときに「人生は短期で見たら悲劇も起こるが、きっと長期で見たらコメディのようなものだ」という話をした。

社会も時代も大きく変わって、今回の結婚式延期の話が本当に本当にちっぽけだと思うくらいの大変な出来事もたくさん起こるのだろう。

それでも、ふたりならきっとやっていけると思う。今の閉塞感漂う時代も、きっと、謎にアボカドと鶏肉にニンニク醤油をかけて食べ続けた可笑しな時代だったと言える日が来ると思っている。「ちょっとニンニク臭い時代だったね」って言っていると思う。

なんだか長くなってしまったので、この辺りでやめておく。来年はどんな心持ちで今日を迎えているのだろうか。たまにはピザを頼んで、朝の散歩は来年も続けていたい。思い出をたくさん作ろう。

結婚式の打ち合わせ再開のメールが来てたから返信せねば。

2年目も、よろしくね。

2020年5月30日

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