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「えっ、まじ?」

26歳のとき、運よく中途採用で某大手金融業界に入社することができた。
業務内容は、新規事業立ち上げに伴いコールセンターでローンの受付や審査など。就業形態は契約社員、そして基本給は30万円。
30万円?「めちゃくちゃ怪しい」と思いつつ「採用されるわけないだろ」と半分は期待、半分は諦め気味な軽い気持ちで受けてみた。
でも、もしこの仕事が決まったら……。想像するとワクワクした。

履歴書を郵送してから数日後、さっそく人事担当者から連絡がきた。今後の流れとしてSPI試験と1次集団面接 → 2次面接 → 3泊4日の合宿研修の説明を受けた。そして面接の日時が決まり緊張したまま電話を切る。

実は、前職を辞めてから働くことに疲れていた。英会話とパソコンスクールの受付、その前はエステティシャンをしていたけれど、両社ともある事件をきっかけにみるみるうちに衰退。もしかしたら自分は疫病神なのかな?と思うぐらい仕事運がなかった。いま考えてみると転機だったんだなと。

これまでいろんな本を読んだ。共通して言えるのは

「間違った道を歩いているとき、軌道修正するために何かが起こる」

経験がだんだん積み重なってくるとあまり何にも動じなくなります。そうすると、とらえ方が変化し耐性がつくので「不安」がなくなってきます。

人は自分が良い状態にいるときは過去の苦い経験から学んだことがいつしか薄れ、忘れてしまう生き物です。だからなんども同じことを繰り返してしまう。これまでの経験から重要だと思ったのは「学ぶ」「考える」。必ず悪い出来事は良い出来事に繋がっていきます。べたですが起こるするべてのことに意味があるんです。

「忘れる」の対処法として、できごと年表を書きためることをおすすめします。できれば八方ふさがりの壁にぶち当たったとき、どのように突破したかも書きためておきます。日々同じような1日を生きていると思いがちですが1日1日が特別です。どんなささいなことでも記録してみてはいかがでしょうか?
あとで見返してみると、あのときはもう死ぬって思うほどに辛かったことがいつのまにか、なかったことのように乗り越えられています。

「正社員にこだわらず気楽に仕事できればいいや」と思い、つぎは非正規で仕事を探すことに。就業形態のランクを落とせば少しは気楽に仕事できるだろうという安易なイメージと、近い将来結婚するかもしれないから。そうなったらフルタイムでは働きたくないと思っていた。いま思えば、「働きたくないけど仕事はしたい」。このニュアンスわかる人はわかってくれる気がします。

生活を維持すためにしばらく不動産屋で事務のアルバイトを始めました。就職情報誌を見て求人応募し面接に行く日々。アルバイトはすごく気楽だったけれども何かが物足りなかった。

当時思っていたのはあまり働きたくない。特にやりたいこともない。お給料そこそこで気楽に仕事ができればいい。食べていかなきゃ。とりあえず探さないと。仕事はなんでもいい。自分ができそうなことなら。気楽にできて生活が成り立てばそれでいいと。
今みたいに好きなことを仕事にして自由に生きるとか、自分がどうありたいか、なんて考えてもいなかった。

求職活動中、渋谷駅で電車を降りたとき電話が鳴った。

会社からの連絡だった。

なんと、採用。

最初に思ったのは「えっ、まじ?」忘れもしない。

わたしの視界だけ、見渡す限りきれいなグリーンのコーヒー農園が渋谷駅を埋め尽くした。
あのときのことは今でも鮮明に覚えている。
そしてダメ元で行動したことが、まさかのちに15年もの歳月を共にする会社になるとは夢にも思っていなかった。      

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