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私は何者か、437


そんな気がする。ずっと気付かぬふりをして、眼はその裏の裏の裏を泳ぎつかれて小さな島で死んだように眠っている。晴れているのはわかっているが、それが一体どうした。常套句、洒落か、都々逸、どいつが言ったか。そんなことはどうでもいい。肝心の正体がわからずじまいさ。登っているのはわかっている。あれはエアーズロックだったか。最初は日本人。途中から、エトランジェ。頂上近くでは、形では表せない、一塊の、けれど、小さなエナジーよ。360度をこの眼で見渡す。その視線はいつか己の背中に届く。小さくて、いわゆる、蟻のような、小さな、ちいさな、文字。なにを言っても、なにを書いても、それが、そう表したように、誰かに伝わることが、叶うならば、と、祈る。



冬の君の瞳に捧ぐ六等星


わたしは何者か。



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