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No.1140 大きな一人

「先輩の態度、見習う」のタイトルで、武蔵町の諒子さんの記事が大分合同新聞に載ったのは20年前のことです。
 
「◇三月初めのある日、学校帰りのバスの中で、卒業したものの国公立大学の後期試験に向け学校で勉強していた先輩たちの姿が目に留まった。その先輩たちは前の席に座ると、バスの運転手さんに向かって『わたしたち三年生なんですけど、卒業したんです。三年間いろいろお世話になりました』と感謝の言葉を述べていた。
 ◇わたしはそれを見ながら『一年後、わたしはお礼を言うだろうか』と考えた。今は当たり前のようにバスに乗り、降りる時に『ありがとうございました』とは言うが、あらためては言わないかもしれない。
 ◇生徒なら、学力を伸ばすのはもちろん大切だが、それと同じぐらいに、人としての成長も遂げなければと思った。今は当たり前のことを当たり前とし、常にこのことに感謝するということはない。
 ◇わたしも一年後、先輩たちのように、当たり前のことを生活の中にしっかりと定着させ、感謝する場合は素直に感謝できるようになりたいと思う。」
 
目の前の先輩の振る舞いに小さな感動を覚える「美しい心」にゆかしさを覚えます。
 
「一人」と漢字で書いて重ねると「大」の字になります。人は誰も「一人」で「大きく」なったような顔をしています。私もその一人かも知れません。
 
しかし、三年間には、多くのいろんな人々のお世話になったり、また支えられたりして、ようやく「卒業」の佳き日を迎えられるのでしょう。特に、親兄弟(姉妹)、学友、部活生、そして先生などの身近な人たちへの感謝は、一層その思いを強くすることでしょう。
 
私は、「卒業」の日は、感謝の気持ちを大きな言葉で伝える日だと思っています。普段は恥ずかしくて言えない一言でも、この日だけは、はばかることなく大声で言える日です。そうやって、身も心も本当に「大きく」なった証を見せてほしいなと思います。
 
三月の初めには、「感謝」という名の「卒業」の日が行われます。「大きさ」を「一人」で遠慮なく開陳する日がやって来ます。高校生の諒子さんから学んだお話です。


※画像は、クリエイター・どんむさんの、タイトル「お題以外はAIが生成した47:映画『となりのトトロ』」の1葉をかたじけなくしました。AI、おそるべし!「AっとIう間」に出来ちゃうのでしょうか?お礼を申し上げます。