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2人劇想定10分『もし明日晴れなくても』 作 沖ママ

登場人物
『 』、「 」 計2名
性別不問

『ごーはーんー!』

「まだ。」

『おーなーかーすーいーたー!』

「霞(かすみ)でも食ってな。」

『仙人じゃん!それ仙人だから!』

「仙人など、見た事も聞いたこともないわ。」

『一応、居るらしいけどね。』

「で?仙人の話をしに来た訳?」

『よし、気分を変えよう。』

「どうぞ、ご自由に。」

『今日の天気はなんだろな~っと♪』

「雨。」

『え~、昨日も雨だったじゃん。』

「雨なんだから、仕方ないじゃないか。」

『雨かぁ~。こう毎日雨だと気が滅入ると言うかなんと言うか。』

「それなら、飴でも降らせてみたら?」

『飴?どうやって?』

「どうやってって、分かんない?」

『ん~!分かんない!』

「はぁ……。だからこのボンクラは……。」

『あー!今、ボンクラって言った!?』

「そんな事、言う訳ないでしょ?どんな耳してんだっての、このおたん こなす。」

『あー!今、おたん こなすって言った!?』

「オタフクソースだよ。」

『え?オタフクソース?』

「そ、オタフクソース。」

『お好み焼きでも作るのかな?』

「残念、パンケーキなんだな、これ。」

『んぇ!?パンケーキにオタフクソースかけるの!?』

「え?ダメ?」

『あー、ダメって言うか何と言うか……。』

「いい?お好み焼きを作るには、お肉、キャベツ、紅しょうが、揚げ玉、その他のお好みの具材が必要。」

『うんうん。』

「一方、パンケーキと言うものは、タネである粉を練って焼くだけ!」

『おぉ!経済的!』

「そう。経済的。結局、オタフクソースかけて食べればお好み焼き食べてる感じ出るじゃないか。」

『あーそう、そうか。そういう好みなんだね。あー、だからお好み焼きか。』

「分かればよろしい。」

『ねぇ、ひとつ……聞いてもいいかな?』

「なに?」

『困ってるの?』

「いや?」

『困ってないの?』

「うん。」

『ほんとに?』

「ほんとに。」

『本当に、困ってない?』

「うん。」

『なら何で……。』

「理由を話す必要があるのか?」

『あ、うん。いや……。』

「ならば答えよう。模範解答(もはんかいとう)は1~5まであるが、どれにする?」

『あ、あのさ……。やっぱいいです。』

「なんだ、いいのか。つまらん。」

『だってさ、普通じゃないよね?』

「普通?普通ってなんだ?」

『普通って、みんな良くある感じの、なんて言うかさ、あるじゃん。』

「みんな?良くある?何だそれ?」

『何だそれと言われても~。みんなはみんな、世間一般。』

「なんだ、庶民の事か。」

『どこ目線で話してんの!?』

「ここ目線だ。それより、これ、混ぜていいか?」

『あー、オタフクソースね。どうぞどうぞ。』

「お好み焼き風、パンケーキモドキ、バージョン12(とぅえるぶ)だ。」

『努力の歴史が刻まれている!』

「ねぇ、ひとつ……言ってもいい?」

『どうぞ。』

「飴、降らせる話。していい?」

『あ、うん。なんか……ごめん。』

「はい、まずは飴を買います。」

『分かった!それを投げて降らせるんだ!』

「はぁ……このボンクラが……。」

『あー!また言っ……!』

「はいはい、言いました。言いましたとも。ボンカレーでも食ってろ。」

『ボンカレーは甘いんだよ~。』

「却下。」

『却下~?』

「はい、脚下。脚の下と書いて脚下。」

『ねぇ……漢字、間違ってない?』

「は?漢字?」

『だって今、脚の下って……。』

「足元、見てみな?」

『うわっ!?あ、飴が……落ちてる……。』

「降ってきたんだね、飴が。」

『えぇ!?降ってきたの!?屋内なのに!?屋根あるのに!?』

「嫌だなぁ、現実を目(ま)の当たりにしても、それを認めないとは。こんな大人にはなりたくないもんだね。」

『ちょっと、それは言い過ぎじゃ……。』

「飴、ボンクラ、おたん こなす、ボンカレー。」

『な、なんだよ。』

「特に意味は無い。」

『なんだよそれ!』

「い~じゃないのさ、意味のある事ばかり言わなきゃならん理由など無い!」

『うん、確かに。』

「カニかぁ~。カニも良いね。」

『カニ漁にでも出る?』

「ほぅ、ベーリング海に行けと?」

『いやいや、そこまでは言ってない!』

「ベーリング海のカニ漁はな、戦争だ。生きるか死ぬかの瀬戸際を常にさまよっている。」

『あの、普通のご飯が食べたいです。』

「良し、それなら明日買い物に行こうじゃないか。」

『明日……晴れるのかな?』

「晴れるかどうかなんて知らん。」

『大事な事でしょ?』

「ど~でもいいんだよ。」

『明日も雨、かもよ?』

「もし明日晴れなくても、お前と居られればそれでいい。」

『あ、そか。んじゃ、明日晴れなくてもいいや。』

「そういう事だ。」

『そういう事だね。』

「もし明日……。」

『晴れなくても。』

「笑って生きてりゃ。」

『いいことあるさぁ~。ってか。』

「お好み焼き風、パンケーキモドキ、バージョン13(さーてぃーん)焼くぞ!」

『改良されてる!?』

「日々、改良は怠らない!」

『どんなけ~!』

おわり

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