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斜里岳 東北東尾根〜1393峰

日程:1992年3月14(土)〜15日(日)

メンバー:ミツルさん、Eさん、Sさん、ぼく

昨年1991年3月に中水の沢より北東尾根に取り付いた。頂上へのルートはザイル必須であり、1300mpで引き返してきた。その際、北尾根にスノーモービルがグイングイン走っている様を見てあっけにとられたが、一方、目を移せば逆隣の長大な尾根ー1393mpへと続くーが望まれた。聞けば、過去、S口さんらによって下りのトレースは残されたが登られてはいないという。こうして1992年3月の山行は決まった。

国道244号線から富士林道を経て、シュンクンベツ沢本流(右側)をつめ、2の沢をつめると、小屋の沢となって斜里岳東面の核心部下部へー1033mpの尾根に出て1393mp峰に抜けるルートである。めっきり春らしくなった、ミツルさんをリーダーに、斜里岳に焦がれるSさんとぼくの3人で入山。同日午後、Eさんが後を追う。
一行4人は斜里岳(まで行けたら)アタック!

3月14日(土) 晴れ 春の陽気
網走を10時に3人は出発。斜里警察署に計画書を提出して、根北峠へ向けて走る。古のコンクリート橋梁をすぎ、2キロほど進んだところでシュンクンベツ川を渡る橋があり、富士林道はその橋の手前右側から始まる。十条製紙の看板がある。車を置いて、春の陽気の中で準備、出発。11時55分。

広く明るい林道を進む。左側は暖かい日差しを反射しているシュンクンベツ川のせせらぎ。3キロほど進んだところで林道は大きく右にカーブする。
285mp 13時。そこから雪で埋まった沢をつめてゆく。狭い沢であり、なかなか進まない。小休止で青空を見上げるとオオワシが4羽で天高く舞っている。

ルートを沢つめから右のカラマツやらの植林された尾根に進むと、やがてしっかりした林道に飛び出す。400mp林道を左に進み、先程の沢と交差する地点で小休止。14時40分。ここからは右から、目指す斜里岳、馬の背、1393峰と対をなした双耳峰に見えて、まるでバットマンのようである。

ルートは沢筋をつめるが、この辺りは背丈ほどのトドマツの幼木林で、ずいぶん開けている。ダケカンバがポツンポツンと立つ樹林帯となり、雪でしっかり埋まった広く快適な沢である。

15時5分、520mpに快適なテントサイトを見つけてBCを設営。
ぼくは650mp付近まで偵察に向かう。沢をつめてゆくと林道にぶつかる。この辺りから右の尾根に出て南西に進む。広く緩斜面の樹林帯。

16時に下からBCへ向かっているEさんと定時交信することになっていたので、無線機を出すと、静寂の中にザーッという音に驚いたのか、クマゲラがキャラキャラッと飛び立っていった。結局、Eさんとはつながらなかった。

16時35分、BCに戻ると、ちょうどEさんも到着したところ。
テントでのビールを楽しみにスキーを外しているEさんに「ビール、忘れてきましたぁ」と言うと、「ばかものっ!」と怒鳴られてしまい、しかし、ぼくがかついだとわかるとニッコリ。テントで宴が始まり、楽しい会話が弾む。
暖かい夜だ。ミツルさんの引いた天気図を見ると風はあまりなさそうだし、天気も崩れなさそうだ。20時就寝。

3月15日(日) 高曇り 南風
4時起床。明るくなってきた5時半にBCを出発。天気は高曇りだ。昨日のぼくのトレースをしばらく辿り、6時15分、700mpで小休止。やがて森林限界となり、ダケカンバの点在する斜面となる。雪もしまっていて楽なラッセルで斜面をジグザグに登行してゆくと1033mpの尾根に飛び出す。7時15分、眼前は昨日のバットマンがどーんと大きく見える。振り向けば海別岳と根北峠の辺りのごちゃごちゃの山並み。オホーツク海に少しの流氷。空一面の雲も山までは降りてこない。

ここからルートはきっちりした尾根を辿る一本道。Sさんはスキー兼用ブーツなので足がつらそうだ。やや下りて登ると1167mpであり、尾根は少し右に折れて目の前の1393峰に突き上げている。左側にやや雪庇。

8時20分、1200mpでEさんと山スキーをデポし、アイゼンに履き替える。ミツルさんたちは下の方ですでにデポ。ここからミツルさんとSさんはアンザイレンして登ることにする。ここから急斜。岩場を右から巻き、細くなってきた尾根をつめる。雪に埋もれたハイマツを踏み抜いては苦労する。右側はダケカンバがわずかに露出していて小屋の沢に落ち込んでいる。南風が強くなってくる。9時45分、尾根上1330mpにちょっとした台地がある。ここから上部はクラストした急斜で、慎重に超えると1393m峰である。

10時30分。Eさんと一足先に着いたので、ツェルトをかぶる。展望といえば南斜里岳、東面に白い悪魔が口を開けたような岩場を持つ馬の背と斜里岳本峰。5分おきくらいに沢の方から響いてくるドーンという雪崩の音。
ミツルさんとSさんも到着して、今回の行動はここまでとして下山することにする。時刻は11時15分。

上部は後ろ向きになってピッケルを使い、慎重に降りる。ゆっくり下山。

15時、BC撤収。
春らしい大きな綿のような雪がちらちら。途中の400mpの林道を右にゆけば富士林道にすぐ合流すると思い、シールを外して進んだが、となりのシュンクンベツ2の沢を渡っており、どこまで行くかわからない。すぐに地図とコンパスで、富士林道へダイレクトに降りる。といっても、この辺りの樹林帯はすべて植林の世界だからすっきりしており、コースもとりやすい。
富士林道を春の夕日の中、下りる。渓のほとりにはすでに春を感じてフキノトウがでていた。
16時30分、林道入口に到着!
はじめての斜里岳山域を裏口から訪問してしまったSさんも満足顔。
斜里岳名無しの尾根(やはり東北東尾根かなー、バットマン尾根?うーむ軽過ぎるなあ)、とにかく、東尾根と北東尾根の間の尾根、良かったなあ。


国道244号線沿 林道入口にて
出発準備をするミツルさん、Sさん


1393峰でツェルトをかぶる
 左からぼく、ミツルさん、Eさん


参考〜天気図

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