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アメマス white-spotted char

ー湖の巨大アメマス伝説ー

藻琴山から見る屈斜路湖

網走の藻琴から道道102号線を川湯へ向かい、藻琴峠を過ぎると屈斜路湖(くっしゃろこ)が眼下に見えてきます。
北海道で一番大きな淡水湖で、謎の怪獣クッシー騒動があった湖としても有名です。
写真は、展望すばらしい藻琴山の山頂から撮影したものです。湖の真ん中の島を「中島」と呼びます。

北海道には、体色に白斑があるアメマスと呼ぶ15-20cmの渓流魚がいます。中には海へ降りて70cmを超えるビッグサイズになるものもいます。これを海アメマスと呼び、川に残るものは、エゾイワナとも呼びます。

アメマスは北海道では身近なさかななのですが、まだまだ詳しい生態や生活史は明らかになっていません。
(余談ですが、ぼくの卒論研究は、知床半島の河川におけるオショロコマ(北極イワナの仲間)の生態でした)

アメマスは、北海道各地にアイヌ伝説として登場します。
その一説を物語としてご紹介します。

屈斜路湖(くっしゃろこ)の中島はもと現在の奔渡(ポント pon-to=子である沼)の所にあった山であったところがこの湖に昔、大アメマスが住んでいて、頭は湖の上手に岩のように水の上まで現れ、尾鰭は釧路川の出口あたりにゆれ、背鰭は湖上に現れて天の日に焦げ、腹鰭は湖の底の石に磨れているという大きなもので、湖を渡る船でもあると波を起こして船を覆して人を溺らせ、退治にいった神々も寄せ付けないという恐ろしい魚でありました。
あるときそれを聞きつけたアイヌの英雄オタスウンクルが銛(もり)をもってこれを退治に来て、見事に大アメマスの目玉を突きました。
しかし大アメマスそんなことで容易にまいらず、大暴れに暴れどうにかすると銛の柄に結びつけた縄をしっかり握っているオタスウンクルが水の中に引きずり込まれそうになるので、オタスウンクルは必死になって近くにあった山にその縄を結び付けましたが、大アメマスも必死になって暴れてため遂に山が抜け、湖の中に崩れ込んでしまいました。そのため大アメマスは山の下になって動けなくなってしまいました。
この山が現在の中島であり、山の抜けた跡に水がたまったのが奔渡(ポント)であるといいます。
現在でもこの地帯で時々地震が起こるのは、山の下になったアメマスがまだ死に切れずに暴れるから起こるのだろうといいます。

アメマスの姿

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