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【音楽チャート】Tyler, The Creator, Frank Ocean, 宇多田ヒカル… #009 脱字コミュニケーションリスナーが聴いてる音楽TOP5

リスナーのみなさまが今どんな音楽を聴いているのかのデータを、ポッドキャストの更新に合わせて隔週で公開していきます。

今回は特別寄稿ということで、まさにそのリスナーである現役高専生のくぼはらさんに書いていただきました!

とても素晴らしい原稿のおかげで良い記事になりました。ありがとうございます。

#0009 第9回配信後

第9回エピソード「反出生主義は暗い思想なのか(GUEST:久世)」配信後(2023年5月7日時点)のトップ5は以下の通りです。

Spotify For Podcastersより

1.タイラー・ザ・クリエイター(➡️)
2.フランク・オーシャン(➡️)
3.宇多田ヒカル(🆕)
4.The 1975(🆕)
5.スピッツ(🆕)

コメント

1位:タイラー・ザ・クリエイター

僕がタイラー・ザ・クリエイターを知ったのは他でもない、「エイサップ・ロッキーのスマホを奪って逃げるタイラー・ザ・クリエイター」の動画です。タイラーはその音楽性やファッションもさることながら、SNSなどに収められた彼の膨大なおふざけビデオでも多大なる人気を博している気がします。今は(これでも)だいぶマシになっていますが、Odd Futureの初期のYouTubeは悪ノリの行き過ぎたかなり過激なコンテンツが今なお閲覧可能になっています。注意して覗いてみてください。元々彼はYouTubeのローンチした初期、当時高校生(もしかしたら中学生かも)ながらVlogのような動画を数本アップしていた経験もあります。その映像エンターテイメントへのこだわりはミュージックビデオにも顕著に表れています。2011年当時の話題を総ざらいした「Yonkers」から、最新作の牧歌的タッチのビデオの数々まで、全て見応え十分のものばかりです。たとえば直近のものでは「LUMBERJACK」のMVの“子供の夢凝縮ハッピーセット感”は特に際立っています。アプローチの方向性は違えど、現在に至るまでいつになっても子供心を抱き続けたプロダクションも、彼の魅力をさらに引き立てていますね。
ちなみに最新アルバム 『Call Me If You Get Lost』でお気に入りの曲は、通常版では「LEMONHEAD」、『Estate Sale』版では「WHAT A DAY」です。

【アルバム】Tyler, The Creator『CALL ME IF YOU GET LOST: The Estate Sale』(Columbia)2023年3月31日リリース


2位:フランク・オーシャン

その5年ぶりとなるライブパフォーマンスが4月中旬に開催されたコーチェラフェスティバル(『Coachella Valley Music and Arts Festival』)にて披露され、それが散々な結果となったことでファンの感情を悲喜交交ごちゃ混ぜにしてしまったフランク・オーシャン。2021年のトラヴィス・スコットに関する一連の悲劇の直後、『ASTROWORLD』の再生数が一時的に爆発的な伸びを見せたように、フランクがこのランキングでも上位にいるのは、その話題性によってアーティストの売り上げにどのような影響が発生するのかを顕著に表した例といえるでしょう。また、直前にはフランクの初期音源をSpotifyにて公開しているアカウント「blondead」が彼の裏アカウントなのではないかと話題になっていました。そのプロフィールには「MISSING」と尋ね人となった彼の顔写真が貼られ、その写真の株に記載されたキャプションには「男が泣くことを証明した」の文。「(コーチェラのオファーを受けたのは)新作アルバムのためではないんだ。だからといって新作アルバムがないわけではない」とコーチェラで述べていましたが、最新作ではいったいどんな魔法で男たちを涙させるのでしょうか。気長に待つとしましょう。
くぼはらはファンが撮影して出回ったコーチェラのセットでは「Godspeed」が、教室で聴いていて顔を覆ってしまうぐらいにはとても良かったです。

【アルバム】Frank Ocean『Blonde』(Boys Don't Cry)2016年8月20日リリース


3位:宇多田ヒカル

僕はテレビっ子でした。片親で家から帰った後、一人になる時間が多かったので、テレビを観るか、本屋に立ち読みをしに行くぐらいしかやることがなかったのもあって、保育園にいた頃から小中学生になるまで、かなりの時間テレビを観ていました。母親の職場での勉強の時間に、聞くともなしに聞いて(というかチラチラ観て)いたこともあります。そんなこともあり、僕は様々なバラエティ番組や、テレビCMに異常に詳しい少年になっておりました。特に、南アルプスの天然水のCMはとても気に入っていて、八ヶ岳で山登りをするお姉さんのバックでかかっている曲は何ていう曲なんだろうなんて思っていたのを覚えています。後からわかったことですが、その曲の名前は「道」で、そのお姉さんはJ-pop界の伝説のSSW、宇多田ヒカルだったのでした。そして、たくさんのネオソウル、ヒップホップを漁った今、彼女がどれほど良質なサウンドをJ-popへ持ち込み、そのトラックの上で繊細な日本語世界を繰り広げていったかが身に染みて理解できます。40代を迎えても、ロンドン在住の彼女の活動は変わらず世界へ影響を与えるでしょう。

【アルバム】宇多田ヒカル『Fantome』(Virgin Music)2016年9月28日リリース

4位:The 1975

The 1975について話すにあたり、それまで全く聴いてこなかった彼らのアルバムを、あえて一つだけ聴いて、その所感を述べようと思います。
最新作 『Being Funny In A Foreign Language(邦題:外国語での言葉遊び)』は、数多のレビューにて高評価を叩き出し、昨年のAOTYにチョイスする人も多くいましたが、聴こう聴こうで先延ばしになってしまっていました。
はじめはスマホを弄りながらBGMにでも聴こうと再生したのですが、その一曲目「The 1975」のイントロが流れ始めると、その音像の精密さに(ん?!)と驚かされたので、(これは今聴くべきじゃない)と改めて聴き直したんですよね。
ひとまず一通り聴き通した所感ですが、はじめは「なにか映画のサウンドトラックの雰囲気を全体に感じる」でした。しかし、ひとつひとつを細やかに味わうにつれて、その全体像がだんだん浮かび上がってきたような気がしました。ストリングスのくっきりとした音色は、ジブリ音楽で知られる久石譲のよう。お次はディスコ調のファンク、それに80年代ライクアップテンポなシンセポップ、コンテンポラリーなAOR、オルタナティブフォークまでこなすかと思いきや、00年代的など真ん中の明るいポップソング、安らかな音の広がりをみせるバラードまで。まさにジャンルレス、ボーダーレスに音楽性の広がりを見せながら、芯にあるバンドサウンドへのこだわりも欠かせないスタイルは、ライトなリスナーからヘヴィーなミュージックフリークまで、多世代に愛されるべくしてそうなったと感じざるを得ません。「リバイバル」ブームの最重要バンドのひとつとして、いま大きなムーヴメントを起こしているこのバンドのその渦に巻き込まれることができて幸せです。

【アルバム】The 1975『Being Funny In A Foreign Language』(Dirty Hit)2022年10月14日リリース


5位:スピッツ

宇多田ヒカルの欄でも書きましたが、僕はテレビっ子で、かつ(自称)CM博士でした。少し話は逸れますが、日本のテレビCMは、それらの一部の破壊的なインパクトから、海外でもミーム的にそれなりに知られているようです。そんな評価の高いCMたちですが、僕の生涯のベストに間違いなく入るであろうCMソングが、〈『キリン 午後の紅茶』TVCM「あいたいって、あたためたいだ。17冬」篇〉スピッツ「楓」です。詳細は一度見ていただければ幸いですが、女優の上白石萌歌さんが出演しています。上白石萌歌さんといえば、70年代から80、90年代までの有名歌謡曲をカバーしたカバーアルバム『あの曲』シリーズが連想されます。流麗な歌唱でも活躍する彼女が、CMでカバーした「楓」。当時中学生のくぼはらはそのヒット女優を際立たせた美しい曲調に惹かれ、県立図書館のパソコンで原曲を調べました。僕が初めてフルで聴き通したスピッツの曲は、「チェリー」でも「ロビンソン」でも「空も飛べるはず」でもなく「楓」でした。
スピッツはその35年ものキャリアの中で、膨大な数のヒット曲を世に送り出し、数々のテレビ番組やドラマの主題歌、CMソングなどのタイアップを務めてきました。今やある程度の日本人には知らない人のいないバンドと言っても過言ではないでしょう。そしてその傍ら、音楽ファンたちにもその良質なメロディーは多大に評価され、愛されています。Youtuberとしても活躍するミュージシャン、音楽評論家のみのさん曰く、「好きなアーティストは?」または「どんな音楽聴いてる?」と聞かれた際の音楽好きの最適解は、そのポピュラーさと音楽性の双方からみて、スピッツである、と。僕はスピッツの評価に、これより明快な答えを知りません。
本稿執筆時(5/17)、劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の主題歌を含んだ新作アルバム『ひみつスタジオ』がリリースされ、早くもSNSでヒットの香りを漂わせています。時代が移り変わり、ラジオからテレビ、SNSへ媒体が変化しようと、変わらずヒットを飛ばし続けるスピッツ。彼らは邦楽の未来にどのような影響をもたらすのでしょうか。彼らの音楽がいずれリバイバルされて、数十年後の世代で大きく盛り上がるのが、今から待ちきれません。

【アルバム】スピッツ『ひみつスタジオ』(Polydor)2023年5月17日リリース


以上がくぼはらさんに書いていただいた文章になります。

自分語り的な要素とアーティストの周辺情報を、時事性も交えながらバランスよくまとめた素敵な文章だと思います。特にこの記事の執筆をきっかけにThe 1975を聴き始めたというのは嬉しいですね。タイラーが今で言うところのVlogをYouTube黎明期に上げていたのが現在の彼のMVの豊かな演出に繋がっているのではないか、という指摘もなるほどと思いました。

書いてみたい方がいらっしゃればお気軽にご連絡ください!書きたい気持ちがあればどんな人でも構いません。

書いたことないよ~って方でも大丈夫です。もこみが責任をもって原稿をみます!


【ライター】
くぼはら(
https://bit.ly/41NDEEM

【編集】
もこみ(
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