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はじめて「作字」に挑戦した話。 #平成最後のフォント

作字をしてみたいなと思いながら二の足を踏んでいたところ、良い企画に巡り会いついに作字に挑戦したので、経緯や流れ、取り組んでみた気づきなどをまとめました。

記事の内容サマリー
1. 作字ってそもそもなんだ?
2. 参加した企画「平成最後のフォント」とは
3. 実際の作字の流れ
  Step.1 : コンセプトを考える
  Step.2 : ラフを描く
  Step.3 : 実際に起こす
  Step.4 : フィードバックを元にフィニッシュ
4. 感想と学び


1.作字ってそもそもなんだ?

印刷で、必要とする活字がないときに、既存の活字の部分を合成したり削ったりして新しい活字を作ること。

作字という単語を検索してみると、その名の通り活版の時代に足りない活字を自作するという意味合いで元々使われていた言葉のようです。

最近はTwitterの「#深夜の真剣作字60分一本勝負」で作字という言葉が気軽に使われるようになったと感じます。このタグとても秀逸で見るたび震えます。

上記から「文字を作る=作字」ぐらいの認識で話を進めます。


2.参加した企画「平成最後のフォント」とは

フォントといえば!のフロップデザインさん主催の企画。

平成最後の思い出に…と参加者を募り、1人1文字担当し最終的に1つのフォントセットにしましょうという面白い内容でした。
すでにフォントは完成して商用フリーでダウンロード可能ですのでぜひ気軽に使ってみていただけると嬉しいです。


3.実際の作字の流れ

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簡単に流れを図にまとめました。デザイン物が制作の上でたどる流れと同じですね。


Step.1 : コンセプトを考える

担当文字は漢字の「友」
文字から得られる情報や背景を元に膨らませていきます。
今回は「平成最後の」と銘打った企画なので平成を象徴するような内容にしぼって考えていきます。

友と平成…というところで、平成はSNSの普及により友達のあり方、作り方が劇的に変化したなぁというところからコンセプトを得て「いろいろなひとがゆるっと集まって友となる」を体現することに決めます。
「ゆるっと集まって」の部分に前からチャレンジしてみたかった文字の中でさらに文字が隠れている表現を取り入れ友の字の中に「フレンズ」とも、多少こじつけですが「ズッ友」と読めるデザインを目指しました。

Step.2 : ラフを描く

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Step.1で決めたコンセプトに沿ったラフを描いていきます。
今回は3通り出しました。

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A.手書き風(画像左)
文通文化は昭和平成の素敵な文化だなという着想です、携帯電話の普及で劇的に変化した文化でもあります。

余談ですが「○○ちゃんへ」の「へ」に点々を付ける文化(ラフの左上から3番目の「へ」のことです)があったなと思いデザインに盛り込んだのですが、話を聞いてみたところ男性と女性で認知度が全然違い、女子特有の文化だという気づきがありました。


B.丸ゴシック風
(画像右上)
楽しげ、ポップ、親しみやすさをわかりやすく表現するにはシンプルな書体のほうが伝わりやすいのではないか…という軸で考えた方面。
結局盛り込みすぎると言いたいことがブレるなという結論を出しこちらの案をベースに決めました。


C.マンガ風
(画像右下)
マンガの効果音文字も楽しげで独特の書体なのでコンセプトにあっているな…と思ったのですが、どちらかといえば昭和からの文化だなと思いBの丸ゴシック風に最終的に決めました。


Step 3 : 実際に起こす

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ラフで方向性が固まったのでStep.1で決めていた文字の中でさらに文字が隠れている表現を意識しながらデザインを実際に起こして整えていきます。

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ラフ〜最初のデザインの段階ではフレンズの「フ」と「ン」を左側の同じパーツを使って読ませようとしていたのですが、すんなり読むには無理があり違うパーツを使う方向に練り直しました。これがとても大変でした…最初の設計が肝心だと痛感。

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最初でつまづいたパーツの扱いを調整し2ndのデザインでおおよそのデザインが固まりました。こちらを一度フロップデザインさんに添削いただきました。


Step 4 : フィードバックを元にフィニッシュ

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フロップデザインさんから「簡単に」とラインをとった画像のみいただいたのですが、これだけでもとても勉強になります。

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フロップデザインさんからのフィードバックは感覚的なおさまりの良さ(目の錯覚など)を意識した調整が主だったように思います。
※自己解釈なので意図は別のものの可能性もあります

わかりやすいところだと「フ」の左下に伸びる斜めのラインや「ズ」の右下斜めライン…漢字でいうところの「はらい」の部分は下にいくに連れて若干太くなる調整が入っています。
また、横軸は縦軸よりも少し細くするなどフォントの基本ルール的な調整が入っています。

実際に漢字を思い浮かべるとわかりやすく作字の際にも文字のルールを意識すると見栄えの良い字が作成できそうです。

フィードバックを参考に最終調整をくわえ完成です!
グッとバランスがよくなりました。
やはりプロは本当にすごい、ありがたさしかない。

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4.感想と学び

実際に作字してみると扱う文字のコンセプトを考えるのが楽しく、コンセプトが文字の意味や響きである程度絞り込まれるので考えやすくデザイン練習にもってこいだなぁと思いました

作字の良いところ
・単語とデザインの組み合わせで無限に新鮮なテーマが出せる
・単体でさまになる
・エフェクトなどの加工が必要ないので短時間でのフィニッシュも可能

短時間でいいデザインをしたい…!という時に大変ありがたい分野なのでは…という大きな気づきがありました。
気軽に取り組めるのもとてもありがたく、私のように二の足を踏んでいる方はぜひ1回気軽に取り組んでみてはいかがでしょうか。
ロゴに比べてフィニッシュまでの時間が短い(ものによります)ので、達成感がすぐに得られて苦手意識が芽生えづらいのが個人的には良かったです、とても楽しい経験になりました。


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