タイトルちょいミニサイズおためし

おこめちっくタイランド②

あのきゅっと心臓を掴まれるような感覚をずっと覚えてる。

ほんとにさっきまで笑顔ではしゃいでいた息子さん1が急に目に涙をためて、おばあちゃんに会いたいとポツリと言った瞬間の、あの感覚。

タイに行くと決めてからは、契約期間満了まで臨時職員の仕事をこなしつつ、安いチケットを探したりパスポートを申請したりVISAを申請したり車や不用品を売ったり会いたい人に会ったり、そこそこ忙しかった。
きっともうしばらく見れない桜も見に行った。
本当はもっと早く出られたのだけど、息子さん1の誕生日が目前だったので家族で祝いたいなと思ったのと、GWでチケットが高かったのもあって二ヵ月後の出発になった。準備している間もあまり実感はなかったし、どちらかというとわくわくしていた。
これから外国で暮らすんだということに。

タイには旅行で二度ほど行ったことがあった。プーケットとバンコク、パタヤ。ノンカイなんて聞いたこともなかった。タイ東北部に位置する県で、ラオスとの国境のあるところ。調べたらバンコクから650kmぐらいの場所にあった。秋田みたい、と思った。650kmというのも東京からうちまでの距離とだいたい同じで、ノンカイも東北だ。
下見なんてするお金はもちろんないからとりあえず行ってみることにした。タイ料理好きだしなんとかなるかなぐらいの気構えで、行ってダメだったらその時また考えようと思った。母は心配して一度止めたけど、すぐに諦めた。「あんたはどうせ言っても聞かないから」と。

母はずっとそうだった。東京で10年、定職にも就かず好きなことをしていた時も、できちゃった結婚した時も、離婚して実家に帰りたいと言った時も、ちょっと小言を言うだけで基本的には好きなようにさせてくれていた。今もそう。
私には妹がひとりいて、姉妹してどちらかというと父親に似て自由というか奔放というか、アレだ。笑
母の友人の子供たちは「ちゃんと」していて、私たち姉妹は多分ちょっと異質なんだけれども、母はいつも「あんたたちがいい子に育ってくれたから幸せだ」と言う。

タイに行くことを決めて、さみしさよりもわくわくが勝っていたのが正直な気持ち。
でもやっぱり罪悪感はあった。母は孫に会えなくなるし、妹は甥っ子ぐりぐりできなくなるし、息子さん1もきっとさみしいだろうから。ずっと一緒にいたのに会えなくなる。私のせいで。けれどそれをあまり考えないようにしていたのかもしれない。
それがあの瞬間、ぶわーっと噴き出した気がする。

秋田はLCCも国際線も飛んでないし、タイから親子三人帰るとなるとけっこうな額になってしまう。タイから日本までよりも国内移動の方が高かったりするし、私のお給料ではちょっと気軽には帰れない。東京までなら安く行けるのに、と正直悔しくもなる。


毎日が楽しくて、タイに来てよかったって心から思うけど、こうして今もあの感覚を胸の奥にしまってる。
そして何より、感謝してる。
母や妹が協力してくれたから、好きにしなさいと無計画な私を手放してくれたから、私は今ここにいる。
でっかい声で私ちょう幸せなんだよって言える。
私は私の家族の元に生まれてすごくラッキーだったし、幸せだなって思うよ、お母さん。

つづく。

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