見出し画像

【前編】スポーツ・アスリート・CSR・CSVを考え続けたらSDGsへ辿り着いた話


1年7ヶ月ぶりにnoteを書いたので、熱の冷めぬうちに色々と書き出していこうと思う。(長文です。約10分かかります。音声で聞きたい方は以下 stand.fm でお聞きください。)



2020年5月、また一つ歳をとってしまった。


LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』の本の中にある "マルチステージ" を考えると、自分はこの先どう生きていく事が良いのかと常々考えてしまう。

社会や国家、人類にとって、何の役にも立たずにただ生きていて良いのか、そんな申し訳ない思いでコロナ禍の日々を過ごしている。

そんな現在の2020年に今何を考え、これから何をしたいか書いていく。



1. アスリートが考えるCSRと企業が求めるCSVとのズレ

CSR = Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)
CSV = Creating Shared Value(共通価値の創造)

W杯を転戦していたスキー選手時代、小さいながらにも数年にわたりスポーツを通じて地域に貢献したい思いで活動していた時期があった。スキーをしているだけの自分は社会的に価値が無いと思っていたからだ。自分の持っている力で誰かの役に立ち、社会の一員になりたかったのだろう。

画像1

ここには載せきれないくらいイベントを企画した。ドイツの総合型地域スポーツクラブのビジネスモデルをお手本に、スポーツの種類は違っても、アスリートが地域で仲間を作って、誰でも参加できる無料のスポーツ教室を何度も開催した。ビーチクリーンやスポーツゴミ拾いをしたり、雪の積もらない地域の子供たちにスキーやスノーボードを教えたり。スポンサーも探していたので、CSRとして見てもらえるように2〜3ヶ月に1度は実費で開催していた。

湘南ジャーナル

しかし、いくら地域貢献活動をして、W杯に出場しても、マイナースポーツの選手として資金スポンサードは得られなかった。具体的に企業の製品の売り上げに繋がらなければ、余程の事が無い限り、物品提供止まりである。

当時は自身にできる事をと考え行動してきたが、それはこちら側の勝手な押し付けで、相手の企業側が欲しいと思っていない物をプレゼントし続けている行動と何ら変わりはなかった。


引退してビジネスの世界に飛び込むと、本音を話してくれる人も多く、何となく本音と建前の大人の事情が分かってきた。企業にとっての最優先は利益を上げ続けることなのでCSRの優先順位はかなり低い。

CSR < 企業の売り上げに繋がる活動(営業・広告)

実際問題CSRの部署はそれほど積極的ではない人が配属されることが多いそうだ。サービスや製品の売り上げに繋がらない活動は全て無駄なコストなのであると。


資本主義の仕組みを学べば学ぶほど納得がいった。フランスの経済学者トマ・ピケティの21世紀の資本で解説されている「r > g」など、少し複雑な構造になっていることも理解した。後にコロナ時代に突入し価値観は変わるのだが。



2. スタートアップで起業

ならば資本主義の世界でアスリートが求められていることを理解し、その数値を最大化したいと思い起業した。アスリートの最大の魅力は技術(パフォーマンス)だと仮説を立て、応援してくれる人を増やすことをGOALにし、手段として動画を選んだ。アプリ上で、真似し合えたり、バトルしたり、コーチングできるようなエンタメのプロダクトの開発を始めた。

【仮説】接点を増やす ▶︎ 支援者が増える ▶︎ 現役選手の競技活動資金難解決

画像2

画像3

(デザイナーが入る前のMVPなので優しい目でご覧ください。)

ニコニコ動画やYoutubeの世界観に憧れがあったのかもしれない。無名な個人がどんどん輝いていく、そんな舞台を作りたかった。

健常者も障害者も年齢も関係なく、アスリートでもそうで無い人でも、誰でも真似して、友達になったりファンになったり。動画の中でお互いにイイね!を送り合いハイタッチできる、そんな世界を望んでいた。

もちろんその先の、大型イベント、期間限定ブース、xRなどにも繋げ、最終的にスポーツのテーマパークを作って、引退したアスリートが得意なことで活躍できる環境を作ることを考えていた。

今思うと「巨大資本かっ!」とツッコミを入れたくなる。しかし70〜80歳までには達成したいと考えていたので、何か他の方法で30年かけてもやり遂げようと思う。


プレゼンの時は世界観をイメージしてもらうために、世界中の動画や有名アスリートの動画も参照させていただいた。

・レスリングの女王と、日本水泳界の宝が同じゴム紐のトレーニングをしている映像
・カーリングを掃除用のモップで真似する女子高校生
・オフィスで車輪付きの椅子を並べてボートの真似をする3人の外国人の動画など


しかし「Must have」ではなく「Nice to have」の "こんなのあったら楽しいよね!" プロダクトは、ローンチして数値が出るまで当たるか外れるか分からないから出資は難しいと判断される事が多く、2016年シード期にVCから資金調達はできなかった。厳密に言えば共感したり納得させられるだけのpainではなかったのだ。


確かにそうだ。吉本の裏方クリエーター養成学校YCCで散々学んだ事だ。映画業界で例に出すと、小説や漫画、ドラマなどで原作のファンがたくさんいる事が条件で、数値化できるから映画の出資を集められる構造と全く同じ。

【公式】原作ファンがたくさんいる ≒ (予測)映画大ヒット
→ 企業スポンサー獲得 → 撮影開始 →投資回収

どんなに面白いプロット作って良い脚本を書いても、映画化したら確実にチケットを買ってくれるであろうファンがいなければ、企業が出資できないから、映画も制作できないという理論である。(映画『カメラを止めるな』のようなケースは奇跡であって、安くても出来る功罪も残ってしまったが、その何百倍もクリエーターの希望となって…この話をすると長くなるのでまた別の機会に。)

しかし構成作家さんから学んだのは今から10年前。指数関数的にマーケティングの変化のスピードが早く、2010年と2020年の常識は全く別物なので、今ならどんな手法でも個人にでも結果を出せるチャンスがあるとは思う。


当時VCへ、本田圭佑さんのリフティング動画と、3歳の男の子のリフティング動画と、家の中でリフティングする海外の90歳のお婆さんの動画を並べて「このような世界を作りたいと思っております!」とピッチしたが、

・本田圭佑さんのリフティング動画には数千万円の価値があっても、一般人のリフティング動画に値段はつかない(意訳:広告を出す企業はいない)

・どんなにチームやサービスが良くてもスポーツはマーケットが小さいのでウチでは投資できない

と身も蓋もないことを伝えられ、帰りの電車内で悶々としたこともあった。某大企業出身の若い男性チームのスポーツ動画投稿サービスは、プレシード期に3400万円の資金調達をしていたので、多分私個人がCEOとして実力不足と判断されたのだと思う。


大資本の上場企業がリソース注ぎ込んで試すならばできたのかもしれない。当方のような弱小が、実績も持っていない状態で開発費を資金調達する場合は、共感してくれるエンジェル投資家を探すしかない。

しかしエンジェル投資家は人脈で繋がっている人の紹介が無い限り、コンタクトできなかった。色んなサービス(STARTUP LIST / ANGEL PORT)※ を試したが、弊社のサービスの魅力が無さすぎて、もちろん登録しただけでは何も変わらず、メッセージを送ってもお返事なしで終わってしまった。スポーツに関心のある投資家にイベントなどで物理的に会えるチャンスもあったが、実際にお話できることはなかった。

毎回絶望的にはなるが、逆に 投資家に利益をもたらす圧倒的魅力のあるサービスを作らなければと決意もできた。そしてスポーツに絞っていたため、アタックした人数が少なく、圧倒的な自身の努力不足が原因なので、できる方法はもっとあったと今ではしっかりと理解している。4年前の私は何もかもが未熟であった。

※ ちなみに上記サービスの実名を出したのはとても良いサービスであるからです。情報弱者の時は変なサービスに騙されがちなので、もし万が一起業家を目指す人がこのnoteを見た場合、私のような地方民でも、確実に良い投資家のいるサービスへ辿り着いて欲しいので敢えて記載しました。特に前者はサービスを提供している方々の信頼がとても高いので本当にお勧めします。無料でも登録できますし、メールでコンスタントに情報も届けてくれます。

直接TwitterのDMで、広く起業家からのメッセージを受け付けてくれているVCやエンジェル投資家も多いので、ここもしっかりとアンテナを張って情報を収集するのがベストだと思います。(以下の記事もご参考に)


その後、自己負担でもアプリの開発を続けたく、副業として知人の会社をお手伝いするも、副業レベルだったので給与が月8〜13万円くらいで、生活と会社の家賃と事業融資返済するだけでいっぱい。社員になることも勧められたが、スポーツ動画アプリへの未練も断てず、貯金を切り崩す生活で前に進めず、「信頼・お金・時間」全てを失って2018年で終了。


またしても『資金難』で失敗した。

いや、資金が無いから出来なかったのではなく、経営に対する勉強不足、そして行動が足りなかった。圧倒的な努力不足で失敗したのだ。全ての言い訳を資金難と解釈していることが失敗だった。


【後編】 へ続く。





サポートして頂きました資金は、書籍購入費用に充てさせて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。 http://amzn.asia/aOc7sUG