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【後編】スポーツ・アスリート・CSR・CSVを考え続けたらSDGsへ辿り着いた話

(後編も長文となりますので、音声で聞かれたい方用に stand.fm 置いておきます。)



スタートアップの成功率は 7%

一度目の起業に失敗し、一体自分には何ができるのか考え続ける日々が続いた。残った有利子負債を返しながら、外に向かっていた思考を、内側に掘り下げていく時間が増えた。


自分のキャリアを一文にすると

W杯アスリート + エンタメ制作 + スタートアップ

ソチ五輪を目指しW杯を転戦し、吉本の学校を卒業し、スタートアップで起業して失敗。その後、イベントやテーマパーク関連、VRの事業に携わってきた稀有なルート。今から得意でないことをして社会の生産性を下げるよりも、得意なことで社会の役に立つしか無いという思いが固まってきた。そして同時期に、常々CSRと一緒に目に飛び込んでくるSDGsにも関心が高まっていた。


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初めてSDGsを自分ごととして考えたのは2017年1月13日。私はよしもとクリエイティブ・エージェンシーのふるさとアスリートに所属し、スポーツで地域に貢献する活動に従事してきた。

その一環として「SDGs(エスディージーズ)で世界を変えよう!キックオフ講演会」の勉強会出席の案内が来た。映画「サマーウィーズ」のOZの世界を作りたかった私は、カラフルなアイコンに惹かれ、SDGsを調べるほどに興味が湧いてきたが、当時はまだスキーヤーとして雪の上のお仕事も多く、1月は泣く泣く参加できなかった。


しかし個人でSDGsを調べていくうちに、スポーツの場合『すべての人に健康と福祉を』に当てはまるのかな?など考えては、どうしようかと迷う日々。3年半前の私には少し問題意識が遠すぎて、今すぐ何か自分でできることを探すアクションには繋がらず、「知りたい」と「分からない」のモヤモヤした状態が続いていた。

「知りたい、関わりたい、けれど何からして良いのか分からない」

後に、この思いが一つの線に繋がっていくことになり、人生の不思議を感じた。



3. 持続可能な社会課題解決方法とは

2019年夏、仲間たちと話をするうちに、あることに気がついた。

<日本の食品ロス問題 (友人女性Y子ちゃん)>
「私は食品会社に勤めており、日本の食料品の廃棄量を減らしたいと常々思っている。そのためには物流の根本の量を減らすなり、工夫できるところがあると思う。しかし個人でその思いを既存のSNSに出すことに抵抗がある。」
<高齢者の社会からの孤立問題 (友人男性Kさん)>
「僕は社会福祉関連のお仕事をしていて、孤独に老後を送り、社会とのつながりが薄れていっているご年配の方々に向けて、地域で集まれるような移動式カフェを開きたい。ついでにその土地にまつわる昔話も聞いてみたい。しかし一人ではなかなか行動を起こしづらいし、何から始めて良いのか分からない。」

そんなお話を聞くたびに、社会にとって良い事をしたいと思っている人々はたくさんいて、アイディアの種がいっぱいあるのに、プランターや土壌が少ないことに気がついた。

この状況が「もったいない」と純粋に思ってしまった。


もちろんビジネスコンペや事業として見つけ出すことが主流だが、ITサービスでもっとカジュアルに参画できるものがあったら良いなと想像が膨らむ。

若い頃の当方のように、後先考えずに突っ走るタイプは少数派であって、大多数の人は社会を支える仕事をしながら生活し、生きていく中でできる持続可能な事をしたいと思っているのだ。


『社会にとって良いことをしたいと思っている人が持続可能な形で社会問題を解決できるWebサービス(仮)』があれば社会課題解決の役に立てるのではないか?という思いが常に頭に浮かぶようになった。

「何か地球や社会にとって良い事をしたい」とみんな思っていても、具体的にどんな情報があって、どんなことから始めたら良いか分からない。もしかしたら同じ街に同じ思いの人が何人もいるかもしれない。どうやったら無理なく出会えるのだろうか。

仲間がいれば活気が湧く。エコやボランティア、SDGsなどの社会貢献活動に参加することのハードルを下げて、障壁を無くしていくには既存のサービスには無い何かが必要だと考え始めた。


頭の中は社会課題全般の解決方法というマクロな視点に変わった。そしてスポーツ単体からSDGsに舵をとった決定打は、後にエンジニアとなる友人O君が言ってくれた「アスリートより困っている人はいっぱいいますからね」という言葉。ぐうの音も出なかったが、私はこのサービスをローンチできたら、サービスを使って地域にスポーツで貢献する。手段は変わったが本質は変わらないのである。


自分にできることは面白いを作ること。
面白くて楽しい仕組みで社会課題が解決できるサービスを作る!
そう決意しまた一歩進み始めた。



4. 社会起業家特別講座

実は2016年3月にETICの担当者さんの勧めで、DoCoMo主催ETIC運営の『社会起業家特別講座』を受講した事がある。

社会起業家塾

TOKYO STARTUP GATEWAY 2015のアクセラレーション中に大変お世話になったETICスタッフさんからずっと、あなたは社会起業家に向いていると言われていた。

2016年の当時は意気がって、

生きているうちに世界が変わるところが見たいからスタートアップでなければダメなんだ。2020年の東京五輪までに結果を出す。

そんな風に考えていて、なぜ社会起業家と言われるのかが分からなかった。


しかし、ETICの「Social Impact for 2020 and Beyond」に参加した際、社会起業家やソーシャルベンチャーの方々の熱量が凄かったことは鮮明に覚えている。

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▶︎スタートアップが色で言うと寒色系で、人で言うと中田敦彦さん、全体的にアール・デコのようなイメージ

▶︎ソーシャル業界を色で言うと暖色系で、人で言うと西野亮廣さん、全体的にアール・ヌーヴォーのような雰囲気

カテゴライズやラベリングではなく、リアルの現場で感じ取った雰囲気の言語化であって他意はない。


イベント事業の全てを教えてくれた師匠に、観察する事を教わった結果だ。イベントそのものを純粋に楽しむのではなく、お客様が何に興奮して何に感動してどんな行動をしているか、そこに注視するよう教えられ骨の髄まで染み込んだ一癖…いや習慣である。

あまりお勧めはできない。推しのLIVEに行っても、夢の国に行っても、意識が、建物の構造、非常口、トイレの数、物販の位置、音響、照明、演出、人の流れを見ること向いてしまい、心の底からイベントを楽しむことができない。夢の舞台を観る側でなく、作る側になるとは、美しい声と引き換えに人間の足をもらうようなものだ。



話が脱線したが、社会起業家や地域貢献事業をしているソーシャルベンチャーの方々は、形にならない愛のようなものが動機になって突き動かされているエネルギッシュな人が多かった。

そんな状況に直面し、私はそこまでの熱い思いで動けているのかな?と物怖じしていたので、リスペクトの意味も込めて、まだまだ社会起業家には追いつけないような気持ちでいた。


そんな自分だったのに、5年後まで見越して、その人間の本質を見抜いて、社会起業家特別講座を勧めてくれたETIC恐るべしと思ってしまった。ゾッとするというとニュアンスが異なるが、西遊記の孫悟空が「お釈迦様の掌の中だ」とようやく気づいたような感覚である。



ちなみに、この社会起業家特別講座が本当によかった。2020年の今でも人生の中で一番良かったと言える勉強会だ。とにかく川北秀人先生のお話が素晴らしく、一切横文字が出てこなかった。日本人の誰もが分かる言葉で、脳と心の奥底に激流のように情報が入ってくる感じ。考えることも追いつかないくらいに。そして瞬時に言語化できない自分へのもどかしさを感じたり、大きな宿題をもらい、解決するために今の人生を生きているような、そういった講座だった。

参照: IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]

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エンタメであれ勉強であれ、心が動くことには魅了されてしまう。


そんなこんなでETICのスタッフさんは、私の原体験や行動理念を知った上で、社会起業家だと言ってくれたので、これからは素直に従って、思っていることを発信し、着実に形にしていきたいと思う。



まとめ

2回に分けて長々と書いてきましたが、自己憐憫したかったのではなく、無知蒙昧な現状を表にしたかったからです。『W杯に出て、よしもとに所属していて、ビジコンで受賞して』なんて面構えだと、大体「凄いですね」や「熟れている感じがする」と言われてしまい、自分が思う自分とギャップがありすぎて、ますます助けて欲しい時に声を上げられなくなってしまっていたので、素直に全部さらけ出したかったのです。


これからは社会課題解決に繋がるプラットフォームの開発に取り掛かります。2019年冬からアクセラレーションに参加したり、色々と行動を進めてきたので、その状況などもアウトプットします。コロナ禍でだいぶ予定通りに進んではおりませんが、それらも踏まえてnoteに記録を残していこうと思います。

まだ再起業の目処も立たず、仲間集めも進んでいないのが現状なのですが、できることから少しずつ始めて、偶然このnoteを読んでくれて、いつか出会える人がいる奇跡も願いつつ、発信を続けていきます。



長文を読んでくださり、ありがとうございました。









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