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株高局面下での投資学習支援会社のIPO

 日経平均がバブル経済下の史上最高値を34年ぶりに更新したと思ったら、その勢いを借りて4万円の大台に乗せる展開となり、多くの投資家の皆さんには株式相場はあたかも全体的に上昇傾向を強めているかのような印象を受けられているのかも知れません。

 実はかつて1989年もそうした現象が生じていました。
 それは大手機関投資家や海外投資家による重厚長大銘柄、湾岸銘柄への一極集中という現象でした。

 今回は海外投資家による生成AIや先端半導体関連銘柄や円安を背景にしたトヨタなどグローバル銘柄への一極集中という現象です。
 3800余りの上場銘柄の中でもこうした潮流に乗れそうな40%ほどの銘柄とそうではない60%ほどの値下がり傾向ないし放置銘柄、出遅れ銘柄に分かれての相場展開が続いてきた点もかつてあった道と同様の展開です。
 この潮流に思い切って乗った投資家とそうではない投資家の運用成果は分かれているものと推察されます。

 指数面では一部の銘柄に偏りがちな日経平均(年初から20%上昇)だけでなくTOPIXも高値更新中であり、年初から2か月間で15%の上昇を見せているとう点では率こそ違え日経平均と大差はないのですが、成長株が多い筈のグロース250指数は年初から10%の上昇に留まっており、多くの銘柄は出遅れ気味に推移しています。
 これまではグローバル分散投資家の巨額資金が主力銘柄や生成AI半導体銘柄に集中し、この市場には資金流入が見らないまま推移してきたとの印象があります。つまり指数連動型で上昇する好需給の銘柄にのみ資金が集まり、「上がるから買う、買うから上がる」の循環で日経平均という一種の別の変動商品を中心に株価の上昇を醸成してきたと言う点に気がつかされます。


 さてこうした動きが日経平均4万円台乗せとなり、プライム市場の時価総額が962兆円と1000兆円の大台に乗せようとする段階でやや過熱しているとの印象が持たれつつあるのも事実です。
 デフレから適度なインフレへと脱却を図れるとの前提で年初から日本株へ好循環がもたらされ、NYダウを上回る上昇を示している現状が今後も続くとしたら日経平均4万円はPER(16.8倍)やPBR(1.52倍)などの指標面では依然として極端な割高感がない中では単なる通過点に過ぎず、新たな水準に向かって進む第1歩となるとの結論に導かれる可能性があります。


 こうした相場環境の中で今年もIPO市場には2月は5銘柄(SOLIZE・5871、VIS・130A、VRAIN・135A、Cocolive・137A、光フードサービス・138A)が上場しましたが、3月は21日のSTG・5858、トライアルHD・141A以下15銘柄が上場する予定です。
 2月のIPO5銘柄はいずれも初値は公開価格に対して高寄りしましたが、特に今年最初のIPOであるSOLIZEは公開価格1470円に対して初値は2020円と37%の上昇となり比較的穏健なスタートとなりましたが、その後は4900円まで初値の2.4倍となりました。

 こうした株価変動を横目に5銘柄のうち3銘柄が公開価格の2倍で初値がスタート。残念ながらいずれもその後は急落するという相変わらずの変動を見せていますが、3月はどうなるでしょうか。全体相場にはやや警戒感が台頭しつつありますが、その中で短期資金が引き続きIPO市場に向かう可能性も想定されます。


 さて、3月最初のIPOは21日の2銘柄。23期連続増収という実績を誇る九州・福岡を地盤にエブリディロープライス型の小売業を全国311店舗で展開するトライアルホールディングス(141A)は、通常の小売業のほかリテールAI事業を展開するなど店舗DX化を進めており、前6月期の業績は売上6531億円、経常利益143億円という規模でIPOの段階で既に事業規模が大きいのですが、グロース市場への上場を予定。時価総額は1000億円以上の水準が想定されます。

 もう一つは情報通信機器や精密電気機器、自動車部品用の軽量化に貢献するマグネシウム及びアルミダイカスト製品の製造販売のSTG(5858・G)。今3月期の売上高52億円(+11.4%)、営業利益2億78百万円(+41.8%)の規模です。

 この後22日のジンジブ(142A・G・高卒就職採用支援)、25日のイシン(143A・G・企業の自治体向けマーケティング支援)から29日のグリーンモンスター(157A・G・体験型投資学習支援)、マテリアルグループ(156A・G・マーケティングコミュニケーション)と続きますが、それぞれにユニークなビジネスモデルを背景に成長意欲をもってのIPOです。

 皆さんは公開時に申し込みされていますか?
 当たらないとは言え、チャレンジはしておきたいところです。

 本誌では今回は特に体験型の投資学習支援のグリーンモンスターに注目。
 新NISAが始まり、金融教育が注目される中で、アプリを通じて体験型投資学習支援を行うグリーンモンスターの今6月期業績は売上高20.7億円(+21%)、営業利益3.2億円(+96%)と伸びていることもあり個人
的には興味を持っています。
 「億の近道」でも中高生向け投資教育を重視していますが、既にその実践をして事業としている企業は興味深いところがあり、皆様とともに見守って参りたいと思います。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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