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ミニ小説100編 その⑤

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ミニ小説100編 その⑤
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記事一覧

誤解という呪い【短編小説】

心の震えへの誤解。 楽しさへの誤解。 成功への誤解。 「誤解?」 「誤解」 ただ、退屈なだ…

奥田庵 okuda-an
6か月前
9

覚醒【短編小説】

ある日唐突に覚醒した。 「ん?」 唐突すぎて笑ってしまった。 浅香唯の「幸せの色」を聴き…

奥田庵 okuda-an
6か月前
15

歩ける気分【短編小説】

昨日の帰り、バスが来るまで少し時間があった。 まだ夕焼け。 暑さも和らぎ心地良い涼しさ。 …

奥田庵 okuda-an
6か月前
12

クレーム【短編小説】

クレーム電話。 上司に接客を受けたという人物。 非通知。 名乗らない。 けれど、どうしても…

奥田庵 okuda-an
6か月前
10

変化【短編小説】

デパートの休憩コーナーにある、マッサージチェア。 15分300円。 結構隅々までマッサージして…

奥田庵 okuda-an
6か月前
12

空よ。【短編小説】

ふむ。 そういえば、若い時に、とても親切にしてくれた「先輩」がいたなぁ。と思い出す。 「…

奥田庵 okuda-an
6か月前
12

誓います?【短編小説】

結婚式を前日に控えた日、僕と彼女は監禁された。 住宅街を歩いている途中、ワゴン車がいきなり横付けして車内から謎の覆面男数人が飛び出してきた。僕らをワゴン車に押し込み、二人とも手首を縛られ、目隠しをされ、どこかへ連れて行かれた。 目隠しを外された。 空き家らしい。 2階の部屋。 窓の外から、鬱蒼とした木々の葉が見える。 口を覆われた布も取られた。 「ヨイショっ」 と、僕達の目隠しを外した痩せ細った兄ちゃんが壁にもたれかかった。 沈黙。 静寂。 僕と彼女、そして、その痩

笑顔を【短編小説】

バスが混んでる。 ベビーカーに2歳ぐらいの女の子。 へへへッへッ。 と、時折笑う。 僕は一…

奥田庵 okuda-an
7か月前
8

インドアカレー【短編小説】

電車が事故で止まってるらしい。 僕は帰るのを諦めて、なにかしら適当なものを食べて、ネット…

奥田庵 okuda-an
7か月前
14

秘密の情報【短編小説】

斜め横の席にいる女性社員が地下アイドル活動をしていることを知ってしまった。 僕がネットサ…

奥田庵 okuda-an
7か月前
13

あと一年【短編小説】

あと一年で山梨へ引っ越すことにした。 「そろそろ山に篭って、静かに暮らしたい」 と、妻が…

奥田庵 okuda-an
7か月前
6

悩み。【短編小説】

まず、まず。 よく食べ、よく寝る。 少し、太らないか気にする。 気にして、また食べて。 寝…

奥田庵 okuda-an
7か月前
4

異物【短編小説】

バス停まで数十mのところに、ネクタイを頭に巻いた中年男性が寝ていた。 酔っ払いだろう。 …

奥田庵 okuda-an
7か月前
11

カレーなる浅香唯【短編小説】

黄昏。 漠然とした喪失感。 「……」 やる気が出なくて焦っている。 そういう気持ちは心地良くない。 焦らなくていい。 休んだほうがいい。 「……カレーかな」 玉ねぎ、トマト缶、鶏肉。 赤缶カレー粉、ヨーグルト、蜂蜜、ブイヨン、コンソメ、ウスターソース、バター。 を用意する。 「考えるな」 と、小さく呟く。 テレビをつけ、YouTubeを見られるようにして、浅香唯のライブを流す。 「……」 考えるな、と、心で思う。 玉ねぎを切る。 ざっくりと半分にして、端からト