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バックレ初心者。


バックレる。
ということが、そもそも出来ない。

出来ないがゆえに、悩む。

バックレるということはそもそもいけないことなのだろうか?
真面目が損をする。という言われ方。

本当に損なのだろうか?
「僕は真面目な人が好きです」
と、素朴な年下の友人が言った。

僕は、彼の素朴さが好きだった。

でも、僕は、そもそも真面目ではないのかもしれない。
そう、思いつつ、
「期待すると、苦しくなる。そして、相手もそもそも、こっちに期待していなかったりする。その人といると金だけ払ってればってことだろ? みたいな言われ方をする。言わないまでも、そういう印象を感じることが多くある。だから、まあ、こんなところとっとと辞めて、どこか遠くへ行こうって思ったりするんだけれど、出来ない。いけないようなことの気がして。そんなこと考えていると、僕は自分のことばかり考えている、不真面目な気分にもなる」
素朴な彼は、小さく一度頷いた。

「まあ、一度、練習してみましょうか」
と、素朴な彼が言った。
「練習?」
「今日は、休めばいいです。僕も付き合います」
「休む? 理由は?」
「バックレたいからです。けど、そんなことを正直に言う必要はないんです。体調不良でいいです」
と、素朴な彼は、ゆっくりと諭すように言った。
「いいのかなぁ」
「いいんです。そうしないと、きっと、これからが苦しくなります。事実がどうにせよ、とりあえず、相手を札束で頬を叩いている奴だと思っていいです。今日だけでも」

僕は、素朴な彼が、積極的に励ましてくれていることに、少なからず感動し、感謝していた。
「ありがとう」

僕は、仕事を休み、バックレる練習をすることにした。
その一回目。

「自分の心は自分でコントロールできます。きっと」
と、素朴な彼は言った。

彼が素朴な意味が分かった気がした。




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