新宮

新宮


新宮というと、本宮が根本で、それを新しくこちらにお祀りしたと思われるかもしれませんが、そうではなくて、熊野の神が最初に降臨された神倉山を元宮として、それを遷して新しく建てたお宮ということです。熊野川の河口に近く平地に位置しますから、シルバーの方でも参拝が楽です。前に書きましたが、本宮も今は小高い場所にありますが、旧社地は川の中洲にありました。どちらも同じ平地なのと、熊野川に沿っていることから、熊野川の神を祀ったのが、ルーツだとする考えがあります。新宮は正式には熊野速玉大社と言います。熊野三山で祭神の名前を神社の名前にしているのはここだけです。速玉は早玉ともあり、川の流れの速さを表現していると思われます。玉は魂ということです。なるほどなと感じます。皆さんはいかがでしょうか?
ここには御神木のナギ(梛、椥とも書きます)が聳えています。神社のシンボルです。速玉大社は平地ですが、元宮の神倉神社にお参りするのはちょっとした修行体験です。源頼朝が寄進したという急な石段が続きます。私はそんなことを知らずに行って、あまりにきついので、引き返そうかと思ったくらいです。ただそうやって登ったところにある熊野の神が降臨したという「ごとびき岩」の存在感に圧倒されます。「言葉も心も及ばれぬ」です。「ごとびき」は「ヒキガエル」ですが、誰が名付けたのか、ピッタリなネーミングです。毎年2月6日のお燈(とう)祭りでは、この急な石段を松明を持った男達がかけ降ります。「山は火の滝くだり龍」と唄われる世界が出現します。熊野の神が降臨した様子を再現したと言われます。ここからの市街地の眺めも一見です。体力に自信のある方は「ごとびき岩」と対面されては。神倉の神は速玉大社に祀られています。山に登れなくても、神倉の神にはお参りできます。もう1つ、パワースポットとして阿須賀(あすか)神社があります。飛鳥神社とも書かれます。元は速玉大社の摂社でした。大社より下流に位置し、蓬莱(ほうらい)山を背にして鎮座します。飛鳥とか蓬莱とか、それだけでも有り難く感じますが、ここにはとても重要な神が祀られています。それは別の機会にして。念のためにここは平地です。

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