見出し画像

【パートナー体験談】妻がガンになった。そのとき、僕は・・・②

前回の記事からお読みください
【パートナー体験談】妻がガンになった。そのとき、僕は・・・①


――――――――――――――――――――――
妻の手術中、僕は、病室のイスに座りながらずっと家族の写真を見ていた。 主治医の言葉を何度も思い出し、とても不安だったからだった。

「帝王切開と同じ箇所から開腹します。手術中にまた血圧が上がった場合は、危険な状態 になることがある事を、心しておいてください。」

数時間後、手術が終わった連絡が入り別室に呼ばれた。
そこには、手術を終えたばかりの先生と銀トレイに摘出した拳ほどの大きさの 妻の子宮があった。

「手術は無事終了しました。奥様も大丈夫です。」

ほっとした僕は、3人の子供を授けてくれた子宮に手を合わせ心の中で
「ありがとう」と言って涙を流した。
病室に戻ってきた妻は、麻酔が残っており朦朧としていたがその日のうちに意識も戻りその後、無事退院ししばらく妻の実家で休息をとり家に帰ってきた。

数か月ぶりに妻と同じベットで寝た僕は、久しぶりに深い眠りがとれるようになった。 元気でいてくれること、生きててくれることに感謝しかなかった。
 開腹した傷も癒えてきて、妻を抱えるように寝ていた自分は、ふとあることが気になった。

「妻ともうSEXは出来ないのだろうか?」

互いに身体の相性が良いと感じていたこともあり、とても不安な気持ちになった僕だが自分からそれを妻に聞くことが出来なかった。
なぜなら、拒否されるのが怖かったからだ。 インターネットで調べるといろいろと書いてあるが、妻の精神状態のことを考えると なかなかその話を自分から切り出せなかった。

子宮を失ったことで子作りへの熱が冷めてしまったり、妻への見方が変わったりしてSEXレスになる夫婦も多いという。
また、互いに誤った認識をしたり、そのことについて話 が出来ないという理由でそうなるケースもあるという話も聞いた。 事実、僕もこの悩みは誰にも相談することが出来なかった。

すると、しばらくしたある日。定期健診から帰ってきた妻から子宮を摘出した後の性生活 について話をしてくれた。

「SEXをするのは問題ないって。でも、ゆっくりと時間をかけた方がいいんだって。」 と。

どう切り出していいか分からなかった僕には、その言葉がとてもありがたかった。夫婦生 活においてのスキンシップが失われるんじゃないかという不安から解放されたからだ。

「実は、僕も気にはなっていたんだけど、なかなか言い出せなくて、、、ごめん。」

妻も子宮がなくなった自分の体の変化や女性としてどう見られているのか?がとても不安 で、切り出す事ができなったという。
定期健診の際に主治医の先生から、性生活について話をしてくれたのが僕らにとっては幸いだった。

その後は、以前と変わらず妻と充実した性生活を送っている。身体的なことも以前と変わ っていないので、違和感は特に感じていない。むしろ、以前よりも夫婦のスキンシップの 大切さを実感するようになった。

僕らは、主治医の先生からの話がきっかけで、夫婦の性生活を取り戻すこともできた。 しかし、そういった機会もなく互いにすれ違い、SEXレスとなってしまう夫婦もいると いう事を聞く機会があった。
僕も自分から話を切り出す事ができなかったので、とても共 感をしている。

そういったケースは、きっと良い意味で互いの気を使ってしまう為に、起こってしまったことなのだと思う。なぜなら、大きな病気や手術などにどう対処してよいかなんて分からない人の方が多いからだ。
互いを心配し、互いを思いやるからこそ正しい情報に触れて欲 しいと思った。

今回の僕の話が、一人でも多くの夫婦にとって良い方向に向かうきっかけとなってくれれば幸いです。僕自身も、不安だったし、分からなかったし、誰にも聞くことが出来なかったからこそ、伝えられることがあるのではないか。そんな想いで書かせて頂きました。

一人でも多くの方が、病気を乗り越えた後も幸せな夫婦生活を送ることを心から願ってい ます。
以上

※このパートナーの奥さんは単純子宮全摘術をされた方でした。

活動、研究資金とさせていただきます。