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環のストーリー

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生きる姿を、音楽と。環のストーリーを紹介します。
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記事一覧

さらば! 椎名町の隣人よ

私には密かに好きな隣人がいた。それがマンションの大家さんである松本さんだった。年齢は70歳…

西新宿の夜が明ける

引っ越すことになった。例によってまた転職をするのだ。しかも前に勤めていた会社に戻る。なか…

中野のコンビニで笑顔がひきつる

「坂本くん〜〜〜!いいわね、あんた本当にいい笑顔」 純二店長は、まるで甥っ子や姪っ子でも…

自由が丘で藤井隆(さん)のパーカー

私のテーマソングの一つに、藤井隆が椿鬼奴とレイザーラモンRGと一緒に歌うkappo!がある。なぜ…

2024年3月23日のZINE FEST出展決定!

みなさん、こんにちは。環です。 この度、2024年3月23日に吉祥寺PARCOで開催されるZINE FEST…

世田谷の道に置いてきた

二股に分かれた道だった。敦は私が後ろから追いかけてくると思っていただろう。だけど私は、敦…

目白で気が引き締まっているのは私です

「次は目白。目白です」 山手線のアナウンスが告げる。まだ一駅しか乗っていないのにな、と惜しく思う。そして胸が高鳴り始める。 浅くなり始めた呼吸のままエスカレーターを登り切り、改札を出て右へ進む。そして20歩くらい歩けばすぐに門が見える。学習院大学だ。 私は大学1年〜3年くらいにかけて、よく学習院大に行っていた。それはバレーボールの練習をするためだ。私が通っていた大学と学習院大は提携のようなことをしていて、毎年対抗試合がある。それがきっかけで学習院大のバレー部の人たちと仲良く

浅草の喫茶店で会いましょう

大阪から友達が遊びにきた。宗(たかし)は私が大阪にいる時に知り合い、いつもお笑いだの人間関…

杉並で静かな正月を過ごせたこと

2023年12月31日。私は東京駅行きの上り新幹線に乗っていた。パートナーの実家から一人、自宅に…

西新宿でふと気づく役割

縛られるのがこの上なく嫌いだ。 誰でもそうかもしれないが、自分は特にその気持ちが強いと思…

2023年の音楽とストーリー

こんばんは。 早いもので、2023年も終わりですね。 今年最後の更新になります。 みなさん、今…

新宿三丁目のカラオケに一人でこもる日々

ああ、今日はもうカラオケに行かないと無理だという日がある。仕事で疲れていたり、ストレスを…

上北台に置いてきた思い出

「ねえ、上北台って覚えてる?」 「覚えてる!覚えてる!よく練習試合行ったよな〜」 「だよね…

雑司ヶ谷にあるお墓は怖くない

友達の学がカナダから帰ってきて、東京で遊んでいた。あちこち歩き回っていた私たちは、池袋から逸れ、なぜか雑司ヶ谷のお墓に足を踏み入れた。雲一つない秋晴れで、午後の陽光が眠気を誘うような日に来るようなところではないと感じつつ、次の目的地に向かうためには通るしかなかったのだ。 雑司ヶ谷にあるその名も「雑司ヶ谷霊園」は、東京ドーム一個分とか言いたくなるような広大な霊園で、碁盤の目のようにお墓が整然と並んでいる。そして所々に背の高い木が生い茂っていて、池袋に林立するビルと相まって東京