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万城目学「八月の御所グランド」感想~「本当にあるかもよ。ここ、京都だし」~

伝説や怪談など不思議な話が数多くある、京都。
この世とあの世をつなぐ場所があるのも、京都。

京の雅さだけでなく、不思議な世界を覗きたいあなた。

朝ドラ「ブギウギ」を観てるなら、ヒロインスズ子が弟の六郎くんを思い歌った「大空の弟」に涙したあなた。

おすすめするは、本書。

ここ最近は、荒唐無稽なイメージ強い万城目作品だが、前作の「あの子とQ」に続く青春爽やかファンタジー&ノスタルジーさありですんごくよかった♡

女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたはひで杯に参加する羽目になった大学生。

御所にグランドがあるんだねー。
そこにまず驚いた。

さて、四回生の朽木くん。
彼女から「あなたには火がない」と、フラれ不貞腐れる夏休み。

なんもする気が起こらない朽木くんだったが悪友の多聞くんから借金のカタとして草野球大会に参加してほしいと強引に誘われる。

多聞くんは必死さ。
なんてったって内定が決まったのに卒業ができないかもしれない。

そこで教授と取引。
条件は、草野球大会での優勝。

たまひで杯と名付けられた草野球大会は、八月の早朝6時から御所Gで行われる。

野球の試合には9人必要。
なんとかバイトの仲間たちに声をかけて1回戦は人数が揃った。

次は二回戦だーー!
が!!あと二人足りない。

留学生のシャオさんを見つけ強引に誘う。
グランドを通りかかった青年に声をかけてなんと人数がそろった。

二回戦も突破。
つづく三回戦も人数が足りないのに、不思議なことになぜか揃ってしまう。

なぜ揃ってしまうのか。

夏、お盆、終戦記念日、五山の送り火...。

「なあ、朽木。俺たち、ちゃんと生きてるか?」(本文より)

あなたには火がないから...と元カノに言われた朽木くんが、ふらりと早朝の御所グランドに集う野球好きな青年たちと出会い、心の中に炎が着火した五山の送り火に胸がじんわり~

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