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太田愛「未明の砦」感想~『知らないのは恥ではない、知ろうとしないのが恥である』~

『知らないのは恥ではない、知ろうとしないのが恥である』by澤柳 政太郎

子どもの頃は、なぜ?どうして?と簡単に聞くことができたが、
大人になると、なぜ?どうして?と大きな声を出すことは...はばかられる。

上の人たちが決めたことだから、世間の風向きがそうだから、みんがそう考えているんだから正しいはずだと思い込んでいる。

でも、果たしてそうなのか?

・おかしいことに対してそれはおかしいと声をあげるのは、間違ったことでも恥ずかしいことでもない(本文より)

どうせしかたないと諦めていた非正規労働者たち四人が、ある出来事がキッカケとなり、おかしいだろう!と憤りを覚え、知ろうとし声をあげ!希望が動き出す胸アツな一冊だった。

共謀罪、始動。標的とされた若者達は公安と大企業を相手に闘うことを選ぶ。

大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平は、千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家>で夏期休暇を過ごし、そこでお世話になった玄羽さんが過労死するも会社は認めないのだった。四人は戦うために労組を立ち上げるも…

🚙🚙

面白かった、読んでよかったの声に後押しされた結果、本当に読んでよかったグッ!(  •̀ᴗ•́  )و ̑̑


知ろうとしなかったことが、いっぱい詰まっていた。
なぜ日本の賃金上がらないのかとか、労働組合はなぜ必要なのかとか...。

地方の中小企業に勤めてウン十年の私。

その間に派遣法が改正されていることは、同じ職場で働く人たちの変化でわかっていたつもりだけだったが...わかってなかったわ( ;ㅿ; )
働かせる側が都合の良いように、法律を作ったり改正してきたのね。

それに、労組なんて冠婚葬祭の世話だけと割り切っているというか、積極的に参加してなかったなぁ~
これじゃ選挙に行かないのと同じことじゃないかと反省もした。

とにかく非正規工員の四人が闘うために知識を身につけると共に自信も身についてくる様が頼もしく成長物語として爽快だった。

でも、爽快だけでは終わらない。

今の日本の問題を、企業と警察の癒着や、矜持という名の野心家キャリア官僚に老害な政治家を絡ませて浮き彫りにさせる。

それぞれの思惑が交差し、四人は大きな渦に巻き込まれる。

それでも声をあげることを止めなければ、立ち止まって聞いてくれる人がいる。
ひとり、またひとり増える。

「いい労働者っていうのは、ただ一生懸命働くことじゃないだ。隣に困ってる労働者がいたら、その労働者のために闘う。つまり自分たちのために闘うのが、いい労働者なんだ」(本文より)




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