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ジム・オルークを聴く陰キャ高校生

ジム・オルークの「Eureka

このアルバム
初めて聴いたのは2000年の秋でした。

じつはその頃、小生、えぐい時期を過ごしておったんです。一歩間違えれば浜名湖の底に沈んでいたか、コンクリートの下に埋もれていたか。

いじめに恐喝にのグラグラな日々を送りながらも、なぜかポスト・ロックの金字塔「Eureka」だけはちゃっかり聴いてる。

われながら、この”聴き意地”にはあきれるというのか、かんしんするというか。
そういえば、ビョークの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や、映像美が印象的な「ザ・セル」などを何度も観てました。とくに意識していなかったが"現実逃避 "というテーマに深く共鳴してたみたいです。

世のセンセイたちの嘆く声「15歳はなぜ言うことを聞かないのか?」とはまさにこの謂いで、現実認識と脳内環境がうまくコネクトームしてないお年頃なのですよね。

…えっとなんの昔話でしたっけ?

ジム・オルークの代表作といえば「Eureka」(1999年の作品)です。

ポップス界の巨人バート・バカラックのカバー「Something Big」の冒頭1分に、このアルバムの革新性やジムの才気がすべて詰め込まれていると思います。

もとから素敵に陽気な曲だけど、原曲以上に、つきぬけるような爽快感と祝祭感があります。とはいえそれはエレクトロニック・ミュージックだからとか、ポスト・ロック/シカゴ音響派を経由しているからとか云々、唾くさい賢しら言いたくないのですね。

はじめ聴いたとき「うーん、なんかうまくいえないけど新しいんだよなあ」と首を傾げながらも惹かれていたものでした。

齢とって、ちょっとは、おろそかにしていたボキャブラが身についたので、ちからづくで言っちゃいますと、音の「温度」が異様に高いって感じなんですよ。

90年代後半といえば、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、ナイン・インチ・ネイルズやレディオヘッド、アンダーワールド、エイフェックス・ツインが全盛でしたが、

それらが低温プラズマだとすれば、この「Eureka」は、グッと高まって高温プラズマに変貌している。
...って言いますね。いまのわたしなら。

創造性の爆発によりポストロックの鬼才として知名度を得たジムは、このあとWilcoのミキシング・エンジニアに迎えられ、ゼロ年代の最高作の一つといわれる「Yankee Hotel Foxtrot」を完成させます。

1曲目からジムワールド全開です。ジョン・スティラットのけだるいヴォーカリゼーションに、カラフルでポップなノイズが絡みつく…

ジム・オルークのファンってどんな人たちなんだろうって想像することがあります。

知り合いにスフィアン・スティーヴンスにハマってるのがいるんですよ。

この両者、どこか方向性?がかぶってるような気がしないでもないが、しかし彼はジム・オルーク聴かない。わたしはといえば逆で、スフィアン・スティーヴンスは不感症みたいで。

(2010年代で一番凄かったと思う一人がsufjan stevens 。でも結局このあたりが到達点だったな...)

二人を聴き比べてみると、やはり音の温度に違いがある。スフィアン・スティーヴンスの方はちょっと温度が低い。

カッケエぇえ

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