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    時代考察/評論。形式やテーマも特に決めず、自由気ままに、さまざまなジャンルをあつかう。柄にもなく気のきいたこと書こうと頑張っている時もある。

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知識は重要ではない|自分を知ること

知っていること書こうと思っても、よくよく考えてみたらあんまりない。 そもそも「知っている」と、思い込んでいることすら、実際のところ本当に知っているかどうか、怪しい。その最たるものが「自分」ではないか。 ついこの間、ある脳科学者の本を読んでいて、問題の記述に突き当たり、しばらく悩んだ。そこには「短所は実は長所でもある」と書いてあったのだ。 ...で、ひとしきり思考してみたが、ついぞ短所も長所も分からずじまいだ。 結局この歳になっても短所すらよくわかってないことを知って情け

    • 「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(2)

      第1章は『「頭がいい」ってどういうこと?』ということが書かれています。 とはいえ、時代は加速主義ですから、なんだかんだ「答えがあることに素早く答えをだす能力」に長けている人の方が生き残りやすい。 答えがないことに応えを出そうとする営みが、とっても尊いこと理解できるし、ありのままに実行できればよいですが、他方で、はたして世間様はそれを許すのだろうか?という疑問もあります。 読んでいる最中、「天才柳沢教授の生活」に登場する”文学部の出口くん”のことを思い出しました。6年間も

      • 花村

        序 わたしの一族が、いつごろから”あの家”に仕えるようになったのか、知らない。なんでも、祖父はとうにも満たない子供のときから丁稚奉公していたらしい。戦時は特別年少兵として海軍にいった。戦役を終えてすぐ、軍のツテで乗り込んだ捕鯨船の上で約10年間を過ごし、大金を稼いだあと、帰郷してまたあの家に仕えなおして頭角を現した。憲兵や兵隊たちも、金をもっている人間にはやさしい。金にものをいわせて結婚したのが、あの家の者の血筋をひく祖母である。長男は町長、その孫(つまりわたしの従兄)は陸

        • 「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(1)

          脳科学の本だけはまめに読むようにしている。 いわずもがなワイの知的好奇心を裏切らないからだが、それ以上におののライフスタイル(研究)と抜群に相性がよく、有益なヒントを与えてくれるからだ。わたしには「夢を持って生きる」「目標を達成する」「勝負に勝つ」といった純粋に自己啓発的なmasculine志向はあまりない。 たぶん多くの人には共感を得られないのだけど、どこかしら、自分のことを”被験体”だと考えてるふしがある。 あえて対比させる形で述べると、夢を持って生きるのではなく、

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          小説家とIQ

          君らIQの話題ほんとに好きね。 以前、某掲示板で「作家とIQ」の関係についてのスレッドを見たことがある(今探したが、もうない) 俎上にあがっていたのは筒井康隆、中島らも、谷崎、芥川、太宰などで、作家たちのIQとその根拠が列挙されていた。もちろん限界集落と化していた某掲示板における”嘘を嘘と見抜ける人”のための文学板のお話である。けれども、やっぱり作家のIQを気にする人は多いのかもしれない。 Googleを探索しているといろいろな情報が目に飛び込んでくる。 各情報にはソ

          小説家とIQ

          『90年代邦楽』はなぜ懐メロにならないのか?

          いまだに90年代を引きずってる奴なんて、ろくでもない老害に決まってるじゃないですか。ひろゆきなんかも、あれは遅れてやってきた90年代表象みたいなものですから、最近は老害の代表格としてバッシングされてますね。ここまでいっといてなんですけど、わたし自身、こころは90年代キッズなんですね、はい。パンチラを見るとおもわず「ワンダフル」って、同名のエロ深夜番組のアイキャッチ叫んでるくらいですから。元号こそ変われど、実態は昭和の最終形態だったでしょう、90年代。豊かだった時代の残り香がま

          『90年代邦楽』はなぜ懐メロにならないのか?

          彦坂尚嘉論(8)

          とんでもないフロウに戦慄。美術が滅んでいく。猿でも写真を撮り、絵を描き、コドモでも現代アーティストを名乗る。そしてキチガイでも美術評論を書く、と。彦坂の怒りがスパークする。 ここで補足しておきたいが、彦坂には、藝大を筆頭とする美術業界人にありがちな、神経質なプライドの高さや、尊大にふるまって他人を貶めるというような歪んだ願望は少ない。その芸術判断の手続きが(後者のそれと同等かそれ以上に)独裁的であることにおいて、悪名高いだけである。 40歳までに彦坂は成功した美術家の仲間

          彦坂尚嘉論(8)

          ぬいペニボーイの憂鬱

          渋谷東口のタクシー乗り場はいつも小さなドラマが起きている。 ”彼女”と109の近くにあるウィスキーバーでしっぽりして、そのあとタクシーに乗り込んだものの、すぐに降りて、道玄坂のラブホにはいった。 ここまでは完璧だった。 ところが。彼女がゆるしたことと言えば、ソファのうえでキスをして、一緒にお風呂にはいったこと、たったのふたつだけだった。 風呂から出ると突然、それまでの彼女はスルリとどこかへ飛んでいってしまったようだ。 ソファで愛撫をしたときに、彼女のストッキングを破いてしまっ

          ぬいペニボーイの憂鬱

          人生が不安定になる理由

          禍福は糾える縄の如し 人生は不安要素だらけよって話です 以前より、社会のあちこちに棲息している「側近」稼業には用心しろと、警鐘を鳴らしているワタクシでありますが、 長年つれそったパートナー それも文字通り、物心両面で支えてくれたビジネスパートナー でも裏では「よく今までバレなかったよねぇ」というような、とーんでもねえ悪事をやらかしてた… (”善人”日本代表のイメージが秒速で熔けていく…) あー、なにも「先だしジャンケンしたからドヤ顔させてください!」的なことを言

          人生が不安定になる理由

          ジム・オルークを聴く陰キャ高校生

          ジム・オルークの「Eureka」 このアルバム 初めて聴いたのは2000年の秋でした。 じつはその頃、小生、えぐい時期を過ごしておったんです。一歩間違えれば浜名湖の底に沈んでいたか、コンクリートの下に埋もれていたか。 いじめに恐喝にのグラグラな日々を送りながらも、なぜかポスト・ロックの金字塔「Eureka」だけはちゃっかり聴いてる。 われながら、この”聴き意地”にはあきれるというのか、かんしんするというか。 そういえば、ビョークの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や、映像

          ジム・オルークを聴く陰キャ高校生

          彦坂尚嘉論(7)

          …最初は名もない原っぱだった。 地図にも、記録にものこっていない場所で。わたしたちは(”たち”といっているのは、そのころは、みんなビンボーで、一緒に身を寄せて暮らしていたからだ)ただ生きるためだけに生きていた。 内心では軽蔑していても、わたしたちはただ生き残るために、エライ人のいうがまま、ふたつ返事に受け入れていた。それが、わたしたちがつつがなくくらすための唯一の方途とおもわれた。 やがて、わたしたちによく似た者が一つに集められていき、そのゲマインシャフトの意思は村から

          彦坂尚嘉論(7)

          また学校に通う|夢をかなえるということ

          先週、とある専門学校にいっていろいろ話を聞いてきた。 この2年くらいかな。なるべく週6シフトで働き、なるべく節約してきた理由は、おもにはこれであった。 「人生をやりなおす」って、いうのは簡単だけど、やるのは本当に大変である。 30代前半で脱サラをした。 あれから5年以上たった。 人生をやりなおすつもりで、いろいろ頑張ったが、ことごとく、ダメだった。 現実というやつに、バーン!と、見事にはねのけられてきた。 リーマンだった頃、ルンルンで銀座を闊歩していたが、脱サラ

          また学校に通う|夢をかなえるということ

          noteを続けるコツ、というか奥義?

          できれば楽をしたい。 たのしく書いた文章で、インプレ稼ぎたい。承認欲求を満たしたい。noteにいる人の大半が、実際そういうタイプの人なのではないかと思う。 かくいうわたしも、もちろんそうだ。 しかしかたや一方で、検索機能が発達した今日、自分と同じような方向性で、しかもはるかに次元の高いことをやってのけている人を見つけ出すのは容易になっている。 アルファ・アカウントとされている方々の記事を読んでみれば一目瞭然である。とてつもないコストがかかっているのが分かるだろう。

          noteを続けるコツ、というか奥義?

          彦坂尚嘉論(6)

          現在の彦坂のスタンスをよく伝えている動画だと思った。 補足すると「嘘」といっているのは、ボイスが自説を行使していないということではなく、その掲げているところの観念そのものが「嘘」であるという意味である。 彦坂はボイス、ならびにドイツ系アーティストの最大の友・追随者としての我が邦の美術界も厳しく批判する。 ただしこの対立自体は何度も「反覆」しているものと心得るべきと思う。とりあえず20世紀に限定するが、高名なのが1934年にヴェネツィアで開催された対談「芸術と現実」で展開

          彦坂尚嘉論(6)

          だからAIに嫌われる

          【悲報】chatGPTにも無視される chatGPTに自前のテストをやらせて虐めてたら、ある日から全く反応しなくなりました。 どこが”オープン”AIなんだよ...と。看板に偽りありではないでしょうか。 私は… いや、何を反論してもむなしいですね。 AIを虐めるくらいしか使い道が思いつかなかったわたしが悪いのでしょうか。世にはAI人格権みたいなものがあるのでしょうか。 「君を傷つけていっぱい泣かせて 僕はもう眠れなくて 後悔しているのにまた繰り返す…」と b'zの名

          だからAIに嫌われる

          彦坂尚嘉論(5)

          2020年、パンデミックのさなかに、彦坂から聞かされた言葉で忘れられないことがある。ずいぶん時間が経ってしまい、仔細を完全に再現することは不可能だが、 「…これまでこの国は、あまりにも豊かだったので、世の中がダメでもなんとかなっていたが、豊かですらなくなってきて、いよいよ切羽詰まってきました」と言ったら、 彦坂が「切羽詰まることは悪いことだけではありませんね?」と”問い”を投げかけてきた。 ひとしきり思考をめぐらせた後「はい、切羽詰まるからこそ、人はより本質的な存在とな

          彦坂尚嘉論(5)