幼稚園児な彼女

先に断りを入れておくが、もちろん彼女は幼稚園児ではない。

そんな犯罪臭がする話ではないということだ。



彼女を見るたび
「たぶん24時間365日ただ見てるだけでも楽しいだろうな」と思う。

「監視プレイ?」なんて聞かれたけれど、それも悪くないかもな。


大して広くもない部屋で走り回る、ばたばたとせわしなく動く、楽しくなるとすぐジャンプする、さみしがりですぐ泣くし、怒ったら機嫌が直るまで無視する、眠そうだなと思った30秒後には寝息が聞こえてくるし…並べていたら幼稚園児みたいな、そんな彼女だ。

そのくせ、料理をさせたら人が変わったように腕を振るうし 写真を撮らせれば「俺、こんな表情してるんだ… 」と被写体本人の俺が息をのむような写真を、気づかないうちに撮っている。能力と普段の生活のギャップにハマってしまっているんだろうな。


ここまで、人に執着する日が来るとは思ってもみなかった。ここまでの25年間、モノはいつか壊れるしヒトはいつかいなくなるのが常だと諦めて、特段執着することもなく生きてきたし、これからもそのまま生きていくものだと思っていた。彼女と出会うまでは。


普段、近くにいる生活をしていないから尚のことだけれどあの幼稚園児はいかにして暮らしているのか。心配じゃないわけがない。当の本人は「え~ちゃんと仕事してるもん!」と頬を膨らましながら不満そうな顔でこちらを睨んでいるけれど。

執着しないで生きてきたはずなのに、初めてのクリスマスにはペアネックレスを渡してしまうし、出張でどこかに行った時には彼女の顔がちらついて毎回といっていいほどお土産を買ってしまう始末だ。


「なんだかんだ、私のこと大好きよね」と調子に乗る彼女に「知らなかったのかよ」と照れ隠しで毒を吐きながら彼女の持っていたアイスの最後の一口を食べる。「なんで!あと一口だったのに!横取り!悪い!」思いつくだけの文句を投げつける彼女があまりにもおかしくて、
【この顔をこの先も守っていこう】と秘かに思ったが、「アイス、もう一個食べる」と声が聞こえたから伝えるのはやめた。幼稚園児が小学生くらいになったらきちんと伝えてあげようかな。



って、彼氏を使って妄想してみた。
半分くらいフィクション、理想形。
思われてみたい人生だね。

おわり、

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