1年分の話。

 1年という時間が経って、一緒にいられた時間はきっと全部足して1か月になるかどうかくらいだけれど。私自身の気持ちの持ち方とか、考え方とか、身の振り方とか…去年どんだけひどかったんだよ(笑)ってなるくらい「まとも」になったなと実感する。今のこの関係に戻れたことが私の人生にとっていい影響を及ぼしていることは言うまでもない。

 1年前にスタートした私たちの交際は、実は2度目のスタートだった。4年半ぶり、2度目。前回のピリオドを打ったのは私で、今回のスタートを申し込んだのも私だ。「人生で一番後悔していたことをやり直していい」という思わぬチャンスに手を伸ばさない手はなかった。
 2度目だからこそ、相手を想える余裕があったり(多分、少しくらい大人になったのもある)、伝えるべきことをきちんと伝え合えたり、自分のことを頑張ったうえで一緒にいることを選べたりするような、お互いの違いを尊敬しあえるような、いい関係を築けていると私は思っている(彼がどう思っているのかはちゃんと聞いたことはない)。そして、付き合いが長いからこその(知り合ってからで言うともう8年くらいになる)空気感とか会話のテンポとかが何とも言えない心地よさである。

 彼と1年間過ごしてきて思うのは、彼は私にとにかく自信をくれる。とは言っても、「かわいい」と言われたのはいつだったかわからないくらい前だし(もしかしたら無いし)、常に「痩せる気有る?」とか(私は万年ダイエット宣言している側の人間)言われているし、どちらかというと悪意のある言葉の方が圧倒的に多すぎるから、どうやって自信をつけているのか自分でも謎である。ただ彼は、私を否定することはしない。「お前はダメだ」とか否定的なことを言われたことがない。そこが一番なのかもしれないし、私の捉え方も成長したのかもしれない。否定されないという安心感は絶大な自信につながるんだなと私は思う。そして、彼の最も尊敬に値するところは10秒でも声を聴けば私のピンチ(ちょっと落ち込んでいるとか)に気付けるところだし、私のラインの返しでピンチに気づくところだ。正直、なんでばれたかわからないくらい普通に返事をしているのにばれる。すごいなと思うと同時に、そんなに気にかけてもらっているんだなという事実は自信につながっている気がする。
 「まとも」でなかった私との遠距離交際に不安はないのか、と彼に問うたことがある。私が逆の立場だったら、がんじがらめに束縛をしてしまうだろうなと容易に想像がつく。連絡頻度も指定すると思うし、「いつどこでだれと」をきちんと説明させるし…考えただけで恐ろしい(笑)それなのに彼ときたら、「それはだって、信頼の問題でしょ?」と
たった一言返したかと思えば、「しかも俺がなにかを言わなくても君はきちんと連絡くれるじゃん。」なんて言うもんだから、この人には勝てないなといつも思うのだ。前に付き合っていた時も「放し飼いが上手な人」だとは思っていたんだけど、本当にそうだ。今も全く変わっていないし、しいて言えば「思っていることをきちんと伝える」という重要ス
ペックまで追加されているじゃない!くらいの感覚である。なにこれ尊い…。


 始まってすぐの時は、やっぱり遠距離ってしんどいよなと思った日もあった。どうにもやりきれない夜をどうやって越えたらいいのかわからなかった。越えてくる自信も正直なかった。でも、彼はいつも「見えるところにいるわけじゃないんだから、溜めこみすぎず言ったらいいんだよ」と私の話を聞いてくれたり、彼なりに寄り添ってきてくれたりしたからこそここまで来られたし 今の私があるよなと自信を持って言える。
 この先の私たちはどうなっていくんだろうか、と不安じゃないわけではないけれど、そんなことは案ずるより産むがやすしだ。時間しか知り得ない未来を怖がっても仕方ないし、いつもどおりのこの感じが少しでも長く続いていったらそれでいいや、くらいの気持ちで生きていこうかな。

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