見出し画像

障害者総合支援法の一部を改正する法律案の概要

令和4年10月14日(金)厚労省HPにて
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について」がUPされました。

これまでnoteで追っかけていた
「就労選択支援」
②「障害者雇用率制度において、雇用対象者の拡大」
③「障害者雇用促進に向けた助成金の新設」

について、いよいよといったところです。

そこで、改めてHPに掲載されている内容をもとに、私なりの解釈も加え①〜③についてまとめます。

①就労選択支援

厚労省HP(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について)の概要より

就労選択支援は障害者が就労を希望する際に、本人の状況や希望、ニーズを聞き取りし、福祉サービスやハローワークに繋げる機能の役割となる。「就労アセスメント」が今回の制度のミソなのだろう。就労アセスメントをもとに、適切なコーディネートを行うことが期待される。
これまで就A・就B型事業所に通っている方の就職に向けた道筋を作ってくれる役割ともなる。それと、就職後の定着サポートへの繋ぎも考えられる。「就労支援のコーディネート」だと想像している。

この制度の面白いところは、福祉(障害福祉サービス)と雇用(障害者雇用促進法)両方にまたがり、コーディネートをしていくことだと思う。「就労中の就労系障害福祉サービスの一時利用」が可能になるので、福祉と雇用のグラデーションが生まれる。そのグラデーションをどのようにしていくのか、興味深い。

現時点ではどこが主体となるのか、またサービスとして事業を運営するのなら報酬体系はどのようなものかがわかっていない。人員配置とか。気になるところである。

さらに、就労アセスメントを行う就労選択支援員の養成も気になる。アセスメントの力もそうだが、適切なサービス・資源に繋げることも必要である。もしかすると、資源の開拓だってあり得る。業務内容としては計画相談員と重なる部分があるので、計画相談員が担う方が良いのか。でもそしたら、サポータが増えないのであまり意味がない。

とにかく、サービスを利用する障害者の選択肢や可能性が広がるような取り組みであって欲しい。

②「障害者雇用率制度において、雇用対象者の拡大」


厚労省HP(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について)の概要より

今後、10H以上20H未満の労働時間の障害者も雇用率制度の対象となる。短時間勤務での働き方を希望する方が(を)、就労し易い(雇用し易い)制度設計となる。これは、多様な働き方を考えると非常に良い取り組みだと思う。また、福祉サービスから雇用のハードルが下がる。短時間勤務からスタートし、前述した「就労中の就労系障害福祉サービスの一時利用」を行いながら勤務時間を延長していくというプランも考えられる。

障害者雇用の掛け持ちもし易くなる。いくつかの会社をかけもちしながら、合計40H勤務をすることだってできる。(ただ、この場合の社保の取り扱いなどはどうなるかは気になるところ)

企業側は短時間勤務でも任せられる業務の切り出しをする必要があるし、働く本人が希望すれば時間の延長もできるようなキャリアプランも考えなければならない。企業側は抱え込まず、ジョブコーチや専門機関に相談しながら解消して行って欲しい。

③「障害者雇用促進に向けた助成金の新設」

厚労省HP(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案について)の概要より

障害者雇用調整金の見直しが確定する。これまで、障害者を雇用すればするほど、調整金(100人越え企業の場合、27,000円/人)や報奨金(100人以下企業の場合、21,000円/人)が上限なく支給されていたが、これに上限が加えられる。元々、調整金・報奨金は「インセンティブ」ではなく、「この助成金を使って、障害者の働き易い環境整備や人的資源に使っておくれ」という意図があった。(あとは、納付金制度は障害者を雇用しない企業が支払う納付金を、障害者雇用を多数雇用する企業に調整金や報奨金として配分することで、障害者雇用で働く障害者の働く質を改善させるという循環を生まれさせるという意図もある。)
今回、上限を設定したことは「一定度の障害者を雇用している企業は、ある程度障害者の雇用の質が確保されており、そこへの助成金は必要ないだろう」という見解だと考えられる。あとは、調整金や報奨金ありきの雇用のあり方に疑問を呈したこともあるだろう。

その代わり、新しい助成金が新設される。これは、企業の障害者雇用促進をするために、企業が依頼する「障害者雇用コーディネータ」派遣にかかる負担への助成金になると思われるが、まだわからない。


以上、ざっくりであったが就労系の法改正についてポイントと所感を改めて整理した。

感想

制度や法律は生き物であって、社会の状況によって目まぐるしく変わっていくのだと思う。だから、現場で起こっている「リアル」な体験を拾って必要なことや変わるべきところをきちんと声を上げていく必要があると思う。
障害者総合支援法は3年ごと、障害者雇用促進法は5年ごとに改正される。自分の周りで良いことは、もしかするとたくさんの人にとっても良いことになるかもしれない。

何かが変わる時ってそんな気がする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?