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憧れ、というスパイス。

一つでも自分のなかに”体験”があると、作品の味わい方が変わることがある。

福山雅治の『東京』にある、「雨上がり246号を抜け出そうよ」という歌詞も、清水湯が好きで表参道にちょこちょこ行くようになってからは、その情景が以前よりもわかるようになった。

ただ、”原体験”がない場合でも、”疑似体験”を通して、味わえる作品もあるのかもしれない。the chef cooks meの『環状線は僕らをのせて』が、朝寝起きでコーヒーを飲みながら聴く曲として最高に好きなんだけど、よくよく考えてみれば、ぼくは環状線にのったことなんてない。

大阪に住んだこともなければ、わりとよく行くのに、地下鉄ばかりを利用していて、ずっとその雰囲気が掴めずにいる。だけど、東京でよくのっていた山手線でみていた景色を追って重ねてみると、ぼんやりとではあるけど、その歌詞のかんじがわかってくる。

ぐるぐるまわる ぐるぐるまわる きょうも僕らをのせて

ぐるぐる体験が、この曲を味わい深いものにしてくれている。あと、もしかしたらだけど、まだのったことのない環状線に対して、この歌詞(PV)から自分の想像を働かして、いつのってやろうか、という”小さな憧れ”を持つようになっているのかもしれない。

体験だけでなく、憧れも、作品をおいしく味わうためにスパイスであるってことだろう。さて、環状線の「不思議なチャイム」を体感しにいってこようではないか。

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