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マスメディアを辞める女性たち

なんだか多いなと思っていた。自分も含めてだが、マスメディアを辞める女性が。なぜだろうと思っていたら、こんなnoteに出会った。

「生活ニュースコモンズ」とは、マスメディアを辞めた女性記者の方々が立ち上げた記事プラットフォームだ。インドのドキュメンタリー映画「燃えあがる女性記者たち」の上映の際に生活ニュースコモンズの記者が登壇したトークショーでは、ジェンダー平等が進む世の中において、変われず取り残されてく日本のマスメディアの現状が語られている。ここで話されている内容は、業界にいた身としてどれもうなずくことばかりだ。詳しくは記事で。

生活報道はマスメディアから消えていくのか

生活ニュースコモンズが取り扱っているのは、「生活報道」というジャンル。暮らしの中で感じた疑問を出発点に、社会の歪みや課題を浮かび上がらせていくとても大事な分野だと、私は考えている。『半径5メートル』というタイトルでテレビドラマにもなった。しかしこのジャンルは、マスメディア業界内ではあまり地位は高くない。「女こどもジャーナリズム」と揶揄されることもある。私も担当していた企画を「ヒマネタ」と言われたりしたものだ。
そんなわけで、マスメディアを辞めた女性記者たちが生活ニュースコモンズというプラットフォームを立ち上げたと知ったとき、新鮮な感動と、一方で、痛みを感じた。生活報道はマスメディアから消えていくのだろうか、と。

新しいジャーナリズムのあり方を支える

しかし、上記リンクの記事を読んでいると、決して悲観的な状況ではなく、むしろデジタルの力で新しいジャーナリズムの形をつくっていける時代なのかもしれないと考えを改めた。心揺さぶられた記事にはコメントと、寄付をする。そうやって伝え手と読み手がつながっていくことで新しいジャーナリズムが育っていくのだ。

今年、私は22年間勤めたマスメディアを辞めて、違う業界に移った。様々なことが重なって至った決断ではあるが、人生の大半を捧げてきた仕事から離れることの重みはそうそう簡単に消化できたわけではない。依然として男性中心社会の業界において、同僚や後輩女性たちを励ましていくことが仕事のひとつだと考えていた身としては、それが直接できなくなったことが唯一の心残りだった。

くしくも同じ年、マスメディアを辞めて新たな挑戦を始めた生活ニュースコモンズの女性たち。見ず知らずの外野の人間が、一方的に希望を抱くのは甚だ身勝手だと思いつつ、応援していきたい。新しい年が、希望にあふれた1年となりますように。



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