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大宮見取図#14 お好み焼き店「人形町」が愛される理由は、店主の粋なおもてなし精神にアリ!

●人形町 
  葛西(かさい)さん


 大宮駅東口から南銀座通りを抜けた住宅街にある、大人気のお好み焼き屋さんです!
地元民が「とにかく美味しい!」と口を揃えます。
2023年で39年目を迎える「人形町」がここまで愛され続けてきた理由を、店主である葛西さんのお話から紐解きます!


味の決め手は、作る側の「粋」な心。

人形町の特徴としてまずご紹介したいのが、商品の提供スタイルです。
東京のもんじゃ焼き店では通常、お客さん自らが鉄板での調理を楽しみます。
一方、人形町さんでは、お店側が調理してから商品を提供します。
なぜあえてこの商品提供スタイルなのでしょうか。
 
葛西さん「東京は人口が多いので、要するにお店側が何もしなくてもお客さんが入るんです。大宮にはそこまでの人口はないし、当時、大宮には鉄板調理に慣れている人が多くないと感じていたので。いい材料を出しても、焼き方一つで味は変わってしまうんですよね。人形町のメニューをもっともっと美味しく食べてもらうためにお店側で焼かせてもらってます」
 
 
メニューの豊富さも人気の理由のひとつです。
お好み焼きはどうしても提供までに時間がかかってしまうので、その間に食べられるようにと、スピード提供できるおつまみ的なメニューもたくさん揃えています。
 
ビールとおつまみでお好み焼きを待つ……なんとも贅沢なひととき!
 
 
そして、やはり飲食店としての最大の魅力は味。
評判のその味にはどんなこだわりを持っているのでしょうか。
 
葛西さん「あんまり考えたことがなくて(笑)。強いて言えば、正直に・丁寧に・美味しいものを提供しようと、常に心がけています。自分がお客さんだとしたら、やっぱり丁寧に親切に対応されたいですよね。商売ってそういうものだと思います。『粋』って言葉が好きなんです。見返りを求めない姿勢を大切にしています」
 
「粋」を大切にする店主のおもてなし精神が、きっとそのまま商品の美味しさとなって表れているんですね!

お好み焼き店は、多くの人を笑顔にできる商売。

葛西さん自らが創業し、現在に至っている人形町ですが、そもそもなぜ大宮だったのでしょうか。
 
葛西さん「もともと東京の浅草で営業職のサラリーマンをしていました。父が大宮に家を買ったことがきっかけで『大宮に自分でお店を出したら面白いかも』と、なんとなく感じたんです。ちょうど友人が東京の人形町でお好み焼き店を経営していたので、そこでの修行がすべての始まりです。単価が安いし、食べているお客さんも楽しそうで、多くの人を笑顔にできる商売だと感じたんです」
 
 
脱サラでの挑戦。そこに迷いや葛藤はなかったのでしょうか。
 
葛西さん「迷いとかはなかったんですが、この場所での出店には少し勇気がいりました。というのも、昔この通りは『片倉新道※』と言われ、街のメインストリートでした。ただお店を出す頃には『ぺんぺん草通り』とか『元すり通り(元が取れない)』と言われていたんです。本当に静かな通りになってしまっていたので、町内会長からは『人形町さん頑張れ』と本気の激励を受けましたよ(笑)。それもあり、とにかく美味しいものを出そうって思ったのを覚えています」
 
※片倉新道…片倉製糸工場と寮とを行き来する女工さんや職工の方々で人通りが激しい通りだった。
 
 
美味しいお好み焼きの提供が、この通りの、そして地域のにぎわい創出に大きく貢献しているようです!

 本人も知らないうちに街のにぎわいに貢献!

葛西さんが39年間見てきた大宮の街の印象を尋ねてみると、やや意外な(?)返答がありました。
 
葛西さん「いつもお店の中で仕事しているから、大宮の街のことは全然わかりません(笑)。自分自身はこれからも変わらず美味しいお好み焼きを出し続けたいだけなので、皆さんにはぜひ気軽に立ち寄ってほしいと伝えたいですね」
 
 
まさかの「わからない」という答え(笑)!
でも、それだけずっとお店のことを考え、仕事をし続けているわけで、だからこその人気店なのだと、むしろ腑に落ちました。
 
思えば、外観には歴史を感じますが、いざ入店してみると、お好み焼き屋さん特有のヌルッとしたギトギト感がないことに気付きます。店内の明るさ、掃除が行き届いた清潔さは、葛西さんのおもてなし精神だからこそ成せる光景です。

多くを語らない笑顔の裏に、並大抵ではない努力と「美味しい商品を提供したい」という強い意志を感じました。
 
葛西さんはあまり自覚がないようですが、大人気お好み焼き店人形町の存在は、大宮のにぎわいにひと役もふた役も買っていますよ!
  

■人形町  店主 葛西 (かさい)埼玉県さいたま市大宮区仲町3-16

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