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【人事評価の未来(第7回)】サッカー選手のKPI:攻撃的MF編(ワールドカップ日本代表スペシャル)

ブラボー。サッカー日本代表が帰国し、日本代表を下したクロアチア代表も準決勝で敗北しました。今回もサッカー日本代表の活躍を踏まえて、人事評価についても考えたいと思います(メジャーリーガーの大谷さんのように)。ポジションは451のトップ下、この2つを中心とした攻撃的MF。
となると、南野拓実さん、鎌田大地さんの2人に焦点を当てることになります。鎌田さんはボランチや少し下がり目のMFもやっていますので今回は特化型の専門家の南野さんにスポットライトを当てましょう。

筆者撮影

日本代表の10番。南野拓実さん。

大阪府泉佐野市で生まれ、兄の影響でサッカーをはじめ、地元のクラブ、ゼッセル熊取で泉佐野市立長坂小学生時代にプレーし、その後、セレッソの下部組織へ。U17日本代表のエースとして引っ張るなど幼いころから日本を背負うほど、エリート街道まっしぐら。興国高校在学中からプロの試合にも出場するようになり、翌年にはセレッソ大阪の主力に。普通に活躍(リーグ戦出場29試合5得点)。Jリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞。
イケメンだが勝気な性格で物おじせず先輩にも口答えをしたり、相手選手と闘うなど気が強く、俺が決める、という匂いを漂わせていました。若くして海を渡り、オーストラリアの名門FCレッドブル・ザルツブルクで経験を積み、チャンピオンズリーグでの決定的な仕事が注目を浴び、世界的ビッグクラブのリバプールへ。世界的チームでは世界的なFWの控えとしてではあるものの、役割をきちっと果たしてきました。森保ジャパンでは途中から日本代表で10番を背負い、日本代表でもかなりの数のゴールを奪ってきました。

日本代表でのゴール数(国際Aマッチ):17
プロとしてのゴール数:91

というのは凄い数字です。

泉佐野市広報誌より

トップ下の結果・・・ゴールと決定的な場面創出

トップ下は実質2トップの片方であったものがフォーメーションの進化の過程で変化し、1トップのまわりを動き回る役割と化したポジションです。
なので、もちろん、ゴールが期待されています。勝利のカギであるゴールをあげる、得点する、得点につながる決定的な仕事をする、というのが最大目的になります。ネイマール選手などもそういった役割です。とはいえ、ゴールは複合的な要因が絡んだ「運」のようなものですからその一段階前である決定的チャンスもKPIとして押さえておくべきでしょう。それはアシストになります。
そうすると
・ゴール数
・シュート成功率(ゴール数/シュート数)
・枠内シュート数
・アシスト数
・アシスト成功率(アシスト数/決定的場面創出数)
といったところがKPIになるでしょう。
場合によっては
・決定的なセンターリング数・パス数
・シュートを受けるポジションを見つけた・確保した数
がKPIにしてもいいかもしれません。
ゴールまでの道のりは長いもので、スペースへの走り込みのタイミング、相手との呼吸のマッチング、アイコンタクトなど、細かく言うと様々な要素はあります。

南野さんはシュートに特化した才能を持っています。シュートの正確性、シュートセンス・・・決定的な仕事ができる点取り屋の「嗅覚」を持っている選手です。

ただし、ゴールやアシスト前段階でのチャンス創出も役割として重要です。

・ライン間の狭いスペースでもターンで前を向ける回数・成功率
・ディフェンスを交わせる回数・成功率
・キーパス数(決定的なパス)
・起点となり結果的にゴールにつながった数
・効果的な飛び出し数
・効果的なスペースへの走り込み数
・(ペナルティエリア付近での)ドリブル成功数・率
・シュートを打つ選手の脇で、おとりになって走る数
・スルーパスへの抜出し数
・ポスト・楔での成功率
・クロス成功数・率

と言った場面における指標のなかで、適切な、チームが期待する役割に指標もKPIとして見てもいいかもしれません。これはゴールに至るまでのプロセス指標と言ったところでしょう。

また、ボール保持でのプレーとしては
・自己範囲内トラップ率(ある程度の範囲内に収められた割合)
・ミスパス率
・決定的な場面における的確なタイミングをとった割合
これらは業務管理指標、品質管理の指標ですが、正確性、ミスのないプレーが求められるのでそういったところも必要な時もあるかもしれません。特に、「対戦相手との距離感やタイミング」は南野さん自体が重視している、プロが言うので大事な要素のようです。

セレッソ大阪のスタジアムにて筆者撮影

守りのKPIも見ておく必要がある

南野さんは献身的に守備もこなします。

・スプリント回数
・デュエル数
・空中戦勝利率
・タックル成功率
・インターセプト数
・シュートブロック数
といったところも守備的な面での指標です。これもチームが守備を求める場合はKPIになるかもしれません。

まとめると、トップ下のポジションでは

・ゴール数
・シュート成功率(ゴール数/シュート数)
・枠内シュート数
・アシスト数
・キーパス数(決定的なパス)
・起点となり結果的にゴールにつながった数
あたりが仕事の「成果」「実績」「業績」に関するKPIになるのかもしれません。

お疲れ様・・・10番の重荷

さて、ワールドカップ。チームの中での序列が変化したため、今回のワールドカップではあまりプレー時間は限られました。しかし、予選においてチームを引っ張ってきた、貢献してきた、森保ジャパンの10番として看板を担ってきたのもまぎれもない事実でしょう。

今回のワールドカップもドイツ戦のアシストなど一定の役割を果たしました。そして、なんといってもクロアチア戦のPKです。PK前のチームMTGにて「5秒くらい誰も手を挙げなかった」のです。そこで、彼が手を上げ、立候補したのです。

その勇気。決意。自負心。責任感。

ことはもっと評価されるべきでしょう。
確かに10番としての自負がから回ってしまったかもしれませんが、漢南野の魂を感じさせました。

「最初のキッカーを務めた勇気と決意を褒め称えなければならない。この経験はより彼を強くするだろう」とクロアチアチームの10番、モドリッチ選手の言葉です。

南野さんにはこの言葉を送りたいです。大変お疲れさまでした。

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