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息子の作文を息子自身がダメ出し

中学生の息子の作文が地域の文集に載った。
私は、息子から文集を渡されて初めてその作文を読んだのだが、
その初めの数行で、載せる前に私に推敲させてほしかった、と思った。
読み進めていくと、先生はちゃんと読んで赤入れてくれたのだろうか、
とちょっとした怒りさえ湧いてきた。
読み終わると、それらの思いはさらに強まったが、
でもまぁこれが今の彼のありのままって事でいいのかな、
というある種あきらめのような気持ちにもなり、
苛立ちは心の中に収めたつもりでいた。
この感想は息子には言わないでおこう、と思っていた。

そう思っていたのだが、
夕飯時、私はお酒を飲むためほろ酔いである。
「この作文さ、先生はちゃんと赤入れてくれた?清書ってどんな感じでやったの?」と言ってしまったのだ。

息子が「え、なんも。きれいに書き写してって言われたから最初に書いたそのままだよ」と言ったので驚いた。
「お母さんに推敲させてほしかった」と言ったら
「推敲ってなに?」と言う始末である。
意味を教えたら「それをやったらお母さんの作文じゃん」と言われたので
引き下がった。
ここで息子が文集を手に取り、自分の作文を声を出して読み、
自分でダメ出しを始めたのだ。
私が思っていた数か所ある直したい部分を、
笑いながら的確に指摘していく。

私が「あー自分で気付いてくれて良かった。成長してるね」と言ったら、
息子も「俺成長してる」と言ったので二人で笑った。
私がほろ酔いになる前に思った、“今の彼のありのままの作文”を、
まさに今現在の彼、つまり、作文を書いた数か月後の彼が受け入れて、
私も彼自身も、彼の成長を感じた瞬間だったように思う。
ちょっと大げさか。

そんなやり取りがあった会話の最後の方、
息子は「俺は文章書くの得意だから」と言ってのけた。

このまま成長してほしいと、母は切に思う。

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