見出し画像

鹿島に同種のサッカーで対抗した川崎鬼木監督への不安

 3連覇を狙う川崎フロンターレは、横浜F・マリノスに2-4で敗れたその3日後、試合間隔が一週間空いた鹿島アントラーズとアウェー戦を戦った。苦戦するのではないかの下馬評とは裏腹に、川崎は開始2分、相手のミスを突き先制。その15分後にも新人、佐々木旭が追加点を決め、2-0のスコアで押し切った。

 心配は杞憂に終わった。結果論で言えばそうなる。実力者をそれなりに揃えた上位候補。コンディションでも上回っていた相手の鹿島を向こうに回し、完封勝ちを収めることができた。横浜FM戦でついたミソは、払拭されたかに見える。

 だが筆者は、相変わらず懐疑的な目を今季の川崎に投げかけている。鹿島戦を経て、その度合いはむしろ高まった気がする。過去2シーズンと様子が異なることが、一段と鮮明になったからだ。

 なにより鬼木達監督の采配に顕著な変化が見て取れる。鬼木監督と言えば、5人の交代枠で行われた過去2シーズン、最も高い選手交代のスキルを発揮した監督だ。使い切らなかった試合は1シーズンでわずか数試合。片手に収まるほどだった。多くの選手を使いながら優勝した。しかし今季は、これまで、5人の枠を使い切った試合は3戦して1試合のみ。

 優秀な監督ほど選手を交代枠いっぱいまで使う。選手を数多く使いながら勝つ。選手交代の数と監督としての能力は比例の関係にあるとは、筆者の長年の取材に基づく見解だが、鬼木監督がFC東京戦、鹿島戦を4人の交代で終えた理由は、精神的に追い込まれていたからだと考える。

 目の前で行われている試合の状況を改善することだけが選手交代の目的ではない。次戦以降との兼ね合いも絡んでくる。休ませなければならない選手もいれば、使っておかなければならない選手もいる。優勝を狙う上で。

ここから先は

1,704字

¥ 140

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?