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なでしこジャパンと森保U−21。最大の違いはクロスを折り返す角度にあり

 アジア大会女子サッカー決勝。中国に押されながらも1-0で勝利したなでしこジャパンと、1日の夜に韓国と決勝を戦う日本男子U−21。男子と女子を同じテーブルの上で語るのはやや気が引けるが、単純に見ていて面白そうに映るのはなでしこの方だ。きつい表現をすれば、男子の方が汚いサッカーをする。好みの問題とは思わない。究極の平衡感覚を駆使した上でそう思う。

 ボールの繋ぎ方、運び方に安定感がある。ボールを経由していくルートがいい。完璧とは言えないが、日本人選手の持ち味が発揮されやすい理に適ったサッカーだと思う。なでしこの方が。

 中国との決勝戦。その終了間際、右のタッチライン際を走る右サイドハーフ中島は、岩淵から縦パスを受けると、中央にゴールラインにややマイナス気味のセンタリングを送り込んだ。中央を走る菅沢がこれを頭で押し込み決勝ゴールは生まれたが、男子チームでは望みにくいゴールだと言える。そうしたチャンスが少なそうなサッカーだ。

 それはサイドハーフ不在と大きな関係にある。岩淵がボールを持った時、日本男子の3-4-2-1の右ウイングバックは、中島の高さを維持することができないのだ。スタート位置はもっと低くなる。おそらくその15〜20mほど。

 試合終盤ならなおさらだ。サイドアタッカーが深い位置に進入することができにくいサッカー。森保式3-4-2-1には様々な特徴があるが、中島が送ったようなクロスボールを望みにくいのがその端的な事例になる。

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