日本サッカー協会は代表監督にナメられている

「情けない……。日本代表選手としての誇りを持っているのか」。韓国に1−4で敗れた後、待ち構えていた記者団にそう発した田嶋幸三会長。それが大敗の一番の要因だと真面目に思っているのだとすれば恐れ入る。ちょっと目を疑いたくなる。

 さらにその翌日、会長は「W杯本選に向けて、素晴らしいチームになるよう、ハリルホジッチ監督をフルサポートしたい」と、そのサッカーを全面肯定してみせた。日本人選手にまるで適合しないハリル式サッカーに、注文をつけることはせずに、である。

 言われっ放しの選手と、全肯定される監督と。会長がこの姿勢では、選手は浮かばれない。明らかに特異なサッカーを主導する代表監督を、なぜそこまで擁護するのか。不思議と言うより不自然だ。

 サッカーにはいろんな見方がある。ハリル式サッカーを好きな人がいてもおかしくない。協会がそのスタンスなら、このサッカーこそが、日本のあるべき方向性を示すものだと、声を大にして肯定すればいい。そう力強く言い放ち、全面的なサポートを表明するならば、それは少なくとも不自然には映らない。不思議だとは思うが、筋は通る。

 
 それについて言及せず、声を荒げながら選手ばかりを批判する姿は奇妙以外の何ものでもない。見解の相違だけで片付けられなくなる。別の世界を生きる人に見えてしまう。何を言っても無駄だと、諦めに近い感覚に襲われる。だが、その不自然さは、不健康さと言い換えることができるので、サッカー界そのものへの不信感は膨らんでいく。論点をすり替えれば、その場の追及をかわすことはできるかもしれないが、根の深い問題へと発展していく。協会の構造的な問題、体質的な問題に進展していく。

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