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【ドラマっこ】プリズム

恋人同士が家で映画を見ながらポップコーンを食べている。彼はキャラメル味で彼女はカレー味。それぞれのお気に入り。
「ねぇこっちも食べてみてよ」「いや、キャラメル一択だから」「そんなー人生の半分損してるよ」ありふれた会話。
「ねぇ、ほらっ!」無理くり押し込まれたカレー味をおそらく人生で初めて食べた彼が一言。
「うんまっ!」
彼女のポップコーンを我が物の如く食べ始める彼。


ここまではありふれた恋人たちの時間だった、彼女が少しの沈黙の後口を開くまでは。
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「あの、、、打ち明けてくれたことなんだけど」
彼女は言葉を選びながらポツリポツリと彼に話を始める。
彼はそんな様子をみて、映画を止めてポップコーンを机に置いた。
「頭ではわかってるんだけど、心が追いついてないって言うか」「理解してると思ってたのに、思いのほか驚いている自分に驚いている」そう独白する。
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「謝らなくていいよ」
彼が受け止めてくれたことに安堵した彼女はこう続ける。
「また不安になったら伝えるね」
「うん」
そういってふたりは見つめ合い微笑んだ。



これいまNHKでやってる「プリズム」と言うドラマのワンシーン(セリフはうろ覚えです)

ちょっと複雑な家庭環境である主人公皐月(杉咲花)が、陸(藤原季節)と恋をするなかで、長年抱えてきたものと向き合っていく話。
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このワンシーンのすごい好きだな、って思ったところは、この展開の後だ。
見つめ合うふたり。彼らは抱きしめたり、キスをするわけでもなく、また映画を見始めるわけだが、
彼である陸が新しくお気に入りになったカレー味を自分に、そして「はい」とキャラメル味を彼女に渡すのだ。
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まったく遠慮がない。

それは彼女の独白をきちんと受け止めたが故の行為であり、自分が彼女を困らせていることへの後ろめたさを感じないほど彼女の「いつか心も追いつけて心の底からあなたを理解したい」という思いを受け取っているからこそ、だと解釈できた。

ふたりはふたりの問題に目を逸らすことなくそれぞれが自分のやり方で向き合い、そしてふたりの未来を進もうとしている。

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すごく温かくてまぶしいシーンだった。
最終回まであとすこし。
みたいようでみたくないようで、やっぱりみたい。楽しみだ。

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